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 2016年12月12日 通販

 えらい時代になったものである。買い物をして、そう実感した。

 九州・大牟田にいるおふくろの余命ががそれほど長くないだろうことは、すでにご報告した。まあ、今日現在、何の連絡もないのでとりあえずは大丈夫なのだろう。

 知らせがないのはよい知らせ

 そんな日々である。
 だが、いずれはやって来る日への備えはしておかねばならない。大牟田から戻って、ずっと心のどこかにあった思いである。おふくろが身罷れば、遠く離れて暮らし続けた親不孝者ではあっても私は長男である。喪主を務めることになる。

 馬子にも衣装、というが、喪主を務めるのなら衣装がいる。礼服である。手持ちの礼服はもう20年ほど前に買ったものだ。まあ、身につける機会は多くないから、傷んでいるわけではない。だが、どうにも窮屈になった。どういう訳か、衣装にくるまれる身体が、成長期はとうに過ぎたはずなのに主に横に成長を続け、パッツンパッツンになってしまった。

 「礼服、買っておいた方がいいかなあ」

 妻女殿に問いかけると、是非にも買えという。珍しく意見が一致したのであるが、しかし、私が常住するのは桐生である。どこで買う? そういえば、桐生で礼服を売っている店なんて見たことないぞ!

 妻女殿は、青山、AOKI、といったロードサイドの紳士服店に行けとおっしゃる。が、こいつだけは何とか避けたい。ペラペラの紳士服を見ると、

 「こいつ、青山かAOKIで買ったんじゃないか?」

 と考えてしまう私である。その昔、まだスーツを常用していた頃、その手の店に入ってみて、何ともならない質感に購買意欲を完全に失って店を出た記憶が甦るのだ。ひょっとしたらその後、あの手の店も心を入れ替え、品質はずっとよくなっているのかも知れない。が、私に一度染みついたイメージは消えない。あの手の店では買い物はしたくない!

 では、どこで買う? 例のO氏を含め、長く桐生に住んでおられる方に聞いてみた。聞くと皆さん、一様に腕組みされる。

 「そういえば、どこで売ってるかねえ。そんなにしばしば買うものじゃないからねえ」

 挙げ句に出て来るのは青山、AOKIという名前ばかりだ。いや、

 「メガドンキに、そんな店入っていなかったっけ?」

 という解答もあった。メガドンキね。あんな店で礼服を買う? これも余りゾッとしない。

 一方で、我が妻女殿にいわれた横浜の次女が、あちら方面のデパートを調べてくれた。

 「男物の礼服は、最低でも7万円だって」

 ふむ、礼服に7万円。これも嬉しくない。現役時代の私のスーツは、高くても5万円止まり。礼服に7万円も払うか?

 そんなこんながあって今日、私は重い腰を上げた。とりあえず、市内で礼服を探してみよう。
 まず、恐る恐るメガドンキを除いてみた。青山、AOKIは何としてでも避けたかったからだ。4階の駐車場に車を止め、エスカレーターで1階に降りる。女性用礼服の店があったので、店員に

 「男物は?」

 と聞くと、隣の紳士服売り場を指し示した。

 「いや、礼服を探しているのだが」

 と意図を述べると、

 「それだったら、ありません」

 ホッとした。そうか、メガドンキには男物の礼服を扱う店はないか! よかった、よかった。これでメガドンキの礼服を着なくて済む。

 ふと思い立って、かつては桐生のシャレ者が通ったという紳士服店を訪れた。まあ、日常的に売れる物ではないから店頭にはない。必要なら取り寄せるという。

 「で、いくらするの?」

 と聞くと、カタログを示しながら、税込み6万8040円だという。なにそれ、デパートと変わらないジャン。

 「分かった。これから家に戻って妻女殿と交渉する。その結果予算を勝ち取ることができたら戻ってくる。戻らぬ場合は交渉で敗北したものと考えていただきたい」

 と言い置いて店を出た。7万円近い礼服なんか買えるか!

 だが、である。相変わらず、どこで礼服を買えばいいのかという当初の問題は解決していない。事態は一向に進んでいないではないか。

 戻って一息入れていたら、ふとひらめいた。

 「通販でもあるはずだ」

 店においてもほとんど売れない商品は単なる場所ふさぎである。小さな洋服店が礼服まで取りそろえているはずがない。このような商品はネットのひとり勝ちになるのが世の流れである。人口12万人弱の桐生市では商売が成立しなくても、1億2000万人の潜在顧客がいれば商売になる。

 Amazonで探した。ある、ある。想定通りにたくさんある。おおむね2万円前後、安いものは1万円もしない。ん? それって青山、AOKIより安いんじゃない? 大丈夫か、そんな礼服?

 いくつかページを繰っていくと、MIYUKIの礼服が出てきた。生地も仕立ても国産で4万8600円。青山、AOKIより高級そうだが、デパート、桐生の紳士服専門店よりだいぶ安い。それって、いいポジショニングじゃないか?
 
 「これにするか」

 と思った私は、妻女殿に相談の上、注文ボタンをポッチンした。

 しかし、である。洋服までAmazonで買う日が来るとは、考えたこともなかった。服は、特にスーツは、身体に合わせてみなければ自分に合うかどうか、着心地はどうかが確認できない。身体にフィットしなくてもいいジャンパー程度なら買ってもいいかも知れないが、礼服をねえ……。
 まあ、私の身体はAB7のサイズでピッタリだから(私に服をプレゼントしようという素敵な女性は、この情報をご利用ください)これで大丈夫だとは思う。だが、普通はお店の更衣室で、サイズをあれこれ取り替えてピッタリな一品を探すこんなものまでネットで買われるようになると、さて、町の洋服屋さんはどうなるのかねえ。
 18日までには到着するという。

 これで当面の課題の1つは解決したが、腰は相変わらず具合がよくない。そこそこ順調に推移していた腰が、何故急変したのだろう?

 思い出すと、腰がおかしくなる直前、私の日常に3つの変化があった。
 1つは、東大式寝返り促進運動である。週刊ポストで紹介されて知った。それによると、人は横たわると、荷重の40%が腰にかかる。その状態を続けると腰への負担が閾値を越え、腰痛の原因になる。人とは良くできたもので、睡眠中に寝返りを打つことで荷重のかかる場所を変え、腰痛を防ぐ。ところが腰痛患者を観察すると、寝返りを打たない人が多い。それが腰痛を引き起こしていると見られ、だからそのような人には、寝返りを打つための体操をお勧めする、というものだ。

 ははーん。これは俺のことではないか、とピンと来た。私は子供の頃から寝相が悪いことで有名であった(私と添い寝したことがある人しか知らないわけだが……)。その自覚は自分でもあり、朝起きたらまったく違うところに寝ていたこともたびたびだった。
 それなのに、だ。最近は寝相がグッとよくなった。いや、朝目を覚ますと、

 「あれ、確か昨夜はこの姿勢で寝付いたんだよな」

 という事が続いているのである。璃子や嵩悟と添い寝をするには安心(寝返りを打った私がkれらの上に乗って押しつぶす危険がない)なのだが、そうか、あれが腰痛の原因であったか。
 ということで、週刊ポストで紹介されていた、寝返りを打つ体質になる体操、というのを始めたのが、腰が痛くなる数日前であった。これが原因か。

 もうひとつ。あの磁力人間化である。腰用の磁力ベルトが到着したのは、腰に異変を感じる前日のことだ。待ちかねたベルトを、その日の私はパジャマの上から腰に巻いて寝た。腰に異変を感じた翌日の夜も巻いて寝た。3日目に説明書を読むと

 「就寝時には外せ」

 とある。ん? 腰に磁力ベルトを巻けば腰周辺の血流がよくなって腰の痛みが抑えられるはず。なぜ寝る時は外さねばならん? とは思うのだが、注意書きにはそう書いてあるのだ。これが原因か。

 もうひとつ。急激に寒くなった。季節の変わり目は腰に悪い。冷えは腰に悪い。これが原因か?

 素人考えでピックアップした原因らしきものである。であれば、それを外さねばならない。
 ということで、寝返り促進体操を中止した。いまは寝る前にマッケンジー体操(腰をそらす)を10回繰り返すという、ずっとやってきた体操だけにした。

 磁力人間でいるのを昼間に限定した。朝、ベルトを腰に巻き、入浴する時に外す。従って、夜は首の周りだけから磁力を発する、中途半端な磁力人間と化した。

 今日から、腰にホッカイロを貼り付けることにした。

 以上、3つの対策を打ち出して実行し始めた。この対策、果たして効果があるかどうか。しばらく推移を見守ることにしている。良きにつけ、悪きにつけ、しばらくしたらまた経過をご報告する。



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