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 2015年10月25日 食う

 いやはや、ボーッとしているうちに、パジャマの上にカーデガンふうのものを羽織らなければ、夜、この日誌を書くのが辛くなった。いや、辛いというより、そうしなければ体が冷え、抵抗力が落ちて風邪ウイルスにしてやられることが目に見える季節になった。

 ボーッとしているうちに来ちゃった秋。

 皆様、あなたのところに、秋はどういう風にやってきました?

 金曜日、夜の宴会をこなしたあと、昨日=土曜日は息子夫婦が久しぶりに尋ねてきた。
 いや、尋ねてきたというより、渋々やってきたといってもよいかも知れない。何しろ、たったひとりしかいない息子は、もう半年も前から、ヤツの自宅のオーディオを、ネットワーク・オーディオにすることに合意しながら、私のパイオニアN50をただで持っていくことに謝意を表しながら、何もしなかった。
 
 「おい、いい加減にせんかい。迷うばっかりで買い物ができない、お前の嫁さんと似てきたか?」

 ヤツの自宅にネットワーク・オーディオを導入するには、NASが必要である。というか、NASさえ用意すれば、CDの音をCDを遥かに凌駕する音質で聞かせてくれるネットワーク・オーディオの世界が広がる。
 それを、何度口を酸っぱくして説明しても、

 「いやあ、NASにいいのがないんだよねえ。あれはデザインが悪いし、これは発熱しそうだし、これはと思えばべらぼうに高いし。迷っちゃってさ」

 お前の親爺だって、迷いながら、でも、NASは買ったのだ。最初に買ったBUFFALONASのあまりの低品質に激怒しなてQnapに買い換え、初期設定でバタグルイながら、でもいまは快適なネットワーク・オーディオ環境に包まれているのである。
 それなのに、息子であるお前が、入り口で迷ってどうする? 要はデータの保存庫であるわけだから、一定以上の性能、つまり私が激怒しそうになったBUFFALO以上の性能があれば、どれでも同じなんだよ。

 Synologyに決めたぜ」

 そんなメールが届いたのが先週。決めたと思ったら、

 「週末に行くわ」

 と土曜日に夫婦揃って姿を見せた。やはり、一刻も早くネットワーク・オーディオにひたりたくなったらしい。

 昼は本町6丁目のアンカープラスでカレーライス。ここのカレーライスは、実によい味がする。桐生近郊にお住まいの方は、一度試してみられることをお薦めする。

 夜は、フランス料理のシュマンドールを張り込んだ。
 桐生の洋食屋のほとんどはこの店で修行をし、独立したといわれる。隣の太田市に、タイヤのミシュラン(レストランのランク付けのミシュランとは違う)が事務所を開いていた間、その事務所にたむろするフランス人がしばしばこの店を訪れて故郷の味に舌鼓を打ったとも聞いた。
 であれば、

 「一度は行かねば」

 と思ってはいた。が、もともと、フランス料理には関心がない。中華とフレンチが世界の2大料理文化である、などとほざく輩には、

 「味噌汁で顔を洗って出直してこい!」

 と罵声をぶつけたくなる私である。
 中華もフレンチも、腐りかけた食材をどうやったら食わせることができるか、から発想された調理に過ぎないというのは、私の独断と偏見である。

 加えて、高い。妻女殿と一度、

 「昼飯を食ってみるか」

 と出かけて、入り口に

 1人前3150円

 とあるのを見て、入らずに帰ってきた。
 何が嬉しくて、老妻と2人の昼食に6000円も払わなければならぬ?

 さらに、だ。この店、子ども嫌いだと聞いた。小さな子どもの同伴は認めないと人が言う。だとすれば、長女一家、次女一家、つまり啓樹たち、瑛汰たちが来たときには近寄れない。幸いにもか、不幸にもか、まだ子どもができない長男夫妻が来たときしか足を踏み込めない店なのである。

 で、行った。
 料理は、6000円、8000円、12000円。もちろん、飲み物は別料金である。飲み放題コースなんてのは用意されていない。

 小食の妻は6000円を、残りの3人は8000円をオーダーした。ついでに妻を除く3人でビールを3本、ワインをボトルで1本、グラスで数杯。
 支払った妻女所殿に、

 「いくらだった?」

 と聞いた。

 4万9000円

 と聞いて、脳の血管が破れそうになった。

 高い!

 いや、多少高いのは覚悟して出かけた夕食である。だが、この程度のもを出してこの価格。しかも、店舗が東京・銀座にあるのでもない。あらゆる条件を考慮して、

 「高すぎる!」

 のである。
 だって、どれひとつとして

 「これ、美味いなあ。また食べたいなあ」

 という料理がないのだ。無論、何が出たか、ほとんど記憶にはない。いくつか記憶にあるなかで、最後に出た子牛のステーキは、

 「なんでこんなにまずいソースでくるんでるの? よっぽど安い肉を使っているから、ソースで誤魔化すってか?」

 フォアグラが出た。

 「おいおい、ハンガリーのブダペストで食ったフォアグラは、もっとコクが強くて美味かったぜ!」

 出てきたすべての料理に、何とも失望したのだ。

 この半分の価格で客を十分に満足させてくれる店はたくさんある。これほどの支払いをするのなら、桐生では「いかだ屋」で和食にするか、「さいとう」まで出かけて寿司を楽しむか。いや、この2店だって、4人で行けばこの金額で釣りが来る

 いずれにしても、このシュマンドールは、絶対にお薦めできない店である。

 「ま、ということが分かるためにも、一度は行って食わなきゃな」

 というのは負け惜しみである。

 「それにしても4万9000円?! 無駄な金を使ったな」

 というのが本音だ。
 口説きたい女がこれから現れたとしても、私は絶対にこの店には連れて行かぬ!


 という騒ぎを一方に、でも、今回息子が来たのは、ネットワーク・オーディオである。
 何と、買ったばかりのNAS、無線LAN機器まで持参して、

 「これで音が出るかどうか確かめてから」

 と我が家に、勝手にもう1系統のLANを設置した息子は、同時に、自分のCDをすべて持参した。口では言わぬが、

 「これ、全部flacファイルに変換して」

 である。へいへい、パパがやらせていただきます。
 というわけで、いまもリッピングしつつの日誌執筆である。

 私のものである600ギガの音楽データは、昨夜から今朝にかけて、息子が持参したNASにすべてコピーした。息子が持参したCDも、今日の昼までにリッピングが終わった54枚は、これも息子のNASにコピーした。
 自宅に戻ってネットワーク・オーディオをセットアップしていれば、今ごろは約1800枚のCDから選んだアルバムを聴き入っているはずである。

 息子は優雅な夜かも知れないが、私はなかなかそのように優雅にはいかない。なにしろ、私の事務室は息子が持ってきたCDで足の踏み場をもないからである。
 当初に比べればかなり整理できた、つまりリッピング作業が進んだのではあるが、残りの枚数はざっと見ても150枚前後。悪くすると200枚はある。
 1枚のリッピングに少なくとも10数分を要し、盤面に傷が入っていたりすると、場合によっては1時間では済まない。CDとの格闘、さて、いつまで続くか。

 今朝も早くから、私はCDとの格闘を続けている。息子は今朝1時半まで私と議論をしていたためか、寝室を出てきたのは9時半過ぎ。うーむ、親爺は7時前から働いているんだがな。

 で、昼になった。息子は遅い朝食を食べ、それより少し早い朝食をとった息子の嫁は、我が妻女殿と一緒に、私が買ってきた焼き芋を食べた。

 「そろそろ帰るわ」

 「昼飯は?」

 「朝が遅かったから、いい」

 「じゃあ、俺の分だけ昼飯を作ってくれ。腹減った」


 私はひとり、妻女殿手製のチャンポンを召し上がった。

 「親爺、まだコピーは終わらないの?」

 「うん、あと30分」


 そんな話をしていたら、突然息子夫婦が出かけるという。何処へ?

 「どうしても、桐生の鰻が食べたいんです!」

 息子の妻女殿の宣言は強烈らしい。空腹感がないと入っていたにもかかわらず、息子は逆らいもせず、2人で「こんどう」に向かった。
 約1時間後、戻ってきた息子嫁は

 「やっぱり美味しかったです!」

 昨日の昼は極上のカレーライス、夜が、味はともかくとしてフランス料理、朝飯はきっちり食べて、その上焼き芋を食って、その上鰻を1人前腹に収める。羨ましくなる健康さである。

 どちらかというと、スリムな体型の息子嫁である。
 気持ちよくなるほどの食べっぷりを見せられて、でも、なぜスリムでいられるのか? と、生涯賭けても解明できるかどうか分からぬ大きな謎に直面した本日の私であった。

 リッピング作業は、まだ続いております……。



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