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 2015年5月20日 5時起き

 をしてしまった。
 つまり、午前5時に目覚めてしまった。

 昨夜は同業者仲間とその取引先を交えた飲み会であった。特定の1人に祝い事があり、

 「だったら呑むか」

 ときっかけを作ったのは私である。私の勢いに押されたのか、祝福を受ける当人を含めて15、6人が集まった。
 まあ、祝いの席である。祝辞を交えて和やかに進む宴会の模様を想像していただければ、それほど実情と違うところはない。あ、おおむねは年寄りで、若者は数えるほど。女性となると、確か一人しかいなかったから、そのデータも加えていただければ、描いていただける像はさらに鮮明なものとなろう。

 ところが、なのだ。
 その、祝福の対象である主賓が、

 「実は俺、40肩になっちゃって」

 64歳にもなる男が40肩というのもちゃんちゃらおかしいが、ま、とにかくなっちゃったらしい。右手が動かせず、前日、医者にいってブロック注射をしてきたという。

 「いや、歯磨きをするのもさ、こう右手で歯ブラシを持って、その右手を左手で支えて、その支えられた歯ブラシに顔の方を近づけて、顔を動かして磨かないと磨けないんだもん」

 などと、日常生活の困り果てた様子を話しながら、

 「だから、ごめん。せっかく祝ってもらってるのに申し訳ないが、俺、早く帰る。申し訳ない」

 と、たけなわになった宴を途中で抜け出してしまった。
 
 別に話上手な男ではない。座持ちのうまい男でもない。それなのに、不思議なものである。主役が抜けた宴というのは、気の抜けたビールのように間の抜けたものになる。

 「じゃあ、そろそろお開きということで」

 誰かがそういうまでに、たいして時間はかからなかった。

 というわけで、午後6時半に始まった宴から自宅に戻ったのは9時半前だった。いつも早寝される妻女殿が、まだダイニングルームでテレビに見入っていらっしゃったほど早い時間の帰還であった。

 酒に酔った午後9時半、というのは、実に始末の悪い時間である。

 それから映画鑑賞に入るには、酒が入りすぎている。いまはカンヌ映画祭の受賞作を見続けており、残りは2012年作の「愛、アムール」。老夫婦の人生最終章を描いて高い評価を得たというから、さて、この状態で見始めて、最後まで起きていられるかどうか。

 では、ギターの練習をする? 我が妻女殿は、音に極めて敏感である。これから眠りにつこうという時間に私がギターの音を出そうものな、どんな言葉でののしられるか知れたものではない。

 数学に取り組めば音は出ない。ノートを開き、いまは高1の数学の平面図形だから、コンパスと定規を使って図形を描けばいいのだが、さて、そこまででやったとしても、だ。問題が解けるか?

 となると、私にはもう時間を費やす手立てがない。つまるところ

 「歯を磨いて寝るか」

 しか残されていないのである。

 で、昨夜の私も、残された唯一の道を選ぶしかなかった。午後9時半の入床。風邪で38、9度の熱を出した状況ならそれもやむを得ぬ。だが、昨夜の私は健康体であった。

 無論、布団に横になった私は本を開く。今読み進んでいるのは

 「オリバー・ストーンが語る もうひとつのアメリカ史3」

 まあ、アメリカの大統領とは、こんなつまらぬぼんくらばかりなのか、と嘆きたくなる本だ。
 なにしろ、あの冷戦の時代、熱い戦争を恐れて何よりも平和をも求めたのはソ連。それに対してアメリカ合衆国大統領のほとんどは

 「ソ連を叩きつぶす!」

 と見境もなく軍事増強に走り、国家予算を食いつぶして、ソ連の平和提案をことごとくつぶし、中南米やアジアの人非人政権を支援し、イラクにもイランにも武器供与して戦わせ……、とにかく、世界を不安定にする種をまき続けたのはアメリカであった、という事実を、これでもかとばかりに集めた良書である。

 レーガンに至っては、ゴルバチョフの究極の兵器削減提案を受けて答える言葉を持たず、事務方が書いたカードを何度もめくるが、想定外の提案だったのでどのカードにも答えは書いてないため、最後はカードをシャッフルし始め、ついには何も言わずに場をはずしたのというのだから、

 「おお、俺なら百倍もまともなアメリカ合衆国大統領になれるわ」

 という夢と自信を与えてくれる本でもある。

 ま、それはそれとして、布団に入った私は読み始めたのだが、まあ、相当に酔っているのである。それほど長く読書が続くわけはない。恐らく、10時半前には入眠したのであった。

 計算をしていただきたい。午後10時に眠れば、7時間の睡眠を取っても午前5時には目が覚める計算である。加えて、年齢がかさめば、睡眠時間は短くなるのが世の習いでもある。

 というわけで、私は今朝、5時に目覚めてしまった。時計を見て

 「まだ起床の時間ではない!」

 と再度眠ろうとしたが、いかん。私も間もなく66歳なのだ。眠ろうとしたって眠れるはずはない。

 「しょうがないなあ」

 と布団を抜け出したのは、そう、5時15分過ぎだったろうか。

 それからずっと起きている。間もなく午後9時。ということは15時間は起きている計算になる。少し眠くなったような気もするが、ここで布団に入れば、明日は4時起き、いや、3時起きになりかねない。まっぴら御免である。

 と思って日誌を書き始めた。上にも書いたようにまだ9時前。時間はなかなかつぶれない。

 ん、今日こそ

 「愛、アムール」

 に挑戦するか。途中で寝込むか。最後までちいさな目を見開き続けることができるか。

 ひょっとしたら、明日結果をご報告するかも知れない。



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