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 2015年3月6日 ネットワークプレーヤー

 ここ2日、突然の飲み会が連続して入り、日誌を書けなかった。従って、本日はやや古い話から始まる。

 I君から、彼手作りのネットワークプレーヤーのコントルール部となるコンピューターが届いたのは、2日、月曜日であった。手元に届けばすぐに使ってみたくなるのが人情である。だが、勤め人であるとの自覚にはなはだ欠ける私ではあるにもかかわらず、平日の稼働時間に、己の趣味に時間を費やすことには罪悪感を覚える、つまらない自分も同居している。

 「じゃあ、平日の昼間から読書にふけるのはどういう訳だ?」

 と突っ込みを入れたくなる方もおられようが、この際、その突っ込みは無視する。

 ということで、せっかく届いた箱を開封するのを、私はは己に禁じた。禁じはしたが、それでも、というかそれだからと言うか、気にはなる。17.5×21.5×11.0pの小さな箱である。持つと、軽い。

 「うちのパイオニアのネットワークプレーヤは、これでもかと言わんばかりに重たいのに、こんなに軽くて同じ役目を果たすのか」

 もう数ヶ月前から使っている、これもI君自作のDACも、とにかく軽い。届いたコンピューターと手元のDACを光ケーブルでつなげば、あの重たいパイオニア製と同じ仕事をする。しかも、話に聞くところでは、出て来る音はパイオニアよりずっと素晴らしいという。
 安くて、軽くて、小さくて、音がいい。まあ、見た目はお世辞にも素晴らしいとはいえないが、それでも、

 「おい、メーカーって、何だ?」

 といいたくはなる。

 で、少しばかり仕事をして、2日連続して飲み会をこなして、さて、本日は週末、金曜日だ。
 それでも、昼間はおとなしくしていた。夕方になり、入浴を済ませて夕食。今日は休肝日であるので、クリアな頭脳でパソコンの前に座り、日誌を書き出した……。

 すぐそばに、あの段ボール箱がある。気になる。やっぱり気になる。明日は、野暮用で朝から横浜に行く。ということは、土日の休日にも触れないわけだ。

 「であれば、姿を拝むぐらいはやってもいいんじゃない?」

 冒頭の1行を書き終えるやいなや、私は段ボール箱にカッターナイフを入れた。

 ホントにちっぽけな黒いプラスチックの箱が出てきた。これがコンピューターらしい。隙間から覗くと、確かに基板が見える。

 「へーっ、こんな基板1枚ですむんだ。だったら、メーカー製って何よ!」

 こうなると止まらない。

 「ホントにいい音が出るのかな?」

 根が好き者である。ここで踏みとどまることができる者をオーディオ愛好家とは呼ばない。
 私はコンピューターを屋内LANにつなぎ、電源ケーブルを接続、これまでMacに挿していた光ケーブルを抜き取ると、コンピュータに挿し直してアンプのスイッチを入れた。

 「これからの手順は、I君のメールにあった。おお、これだこれだ。『めちゃくちゃ簡単です』ってあるぞ。やってみるか」

 それが大きな間違いであることを知るには、もう少し時間がかかる。

 まず、I君が指定したインターネットのサイトに飛んだ。ここに、初期設定の仕方が書いてある。

 「なに、まずVolumioってページに行くのか。ここから設定するんだな。おお、出た出た」

 ここまでは間違いようがない。
 次は、このページのMENUをクリックして、帯状のメニューから「Library」を選ぶ。ここで、NASを登録する。

 まず、NASの名前。これはQNAP119でいいはずだ。
 次にIPアドレス。ああ。数字だけでできた呪文ね。よし。
 ん? Remote direcftory? 何だ、それ?
 UsernamePassword。これはNASの出荷状態から変えていないから、これでいいはず。
 でも、Remote direcftoryって、何を入れればいいんだ? つまり、音楽データが入っているところのことだろうから、Qnapって入れればいいのか? えーい、面倒だ。やってみよう!

 登録ボタンを押す。

 「あちゃー、ダメか」

 であれば、音楽データが入っているフォルダの名前、「Music」にしてみるか。ありゃ、これもダメなの。だったら、そのひとつ上の階層のフォルダはMultimediaだから……、こいつもいけないってか。いったいどうすればいいのよ!

 始めて5分でドツボにはまり込んだ。
 とにかく、このちっぽけなコンピューターは、NASから音楽情報をもらわなければならない。そのためには、コンピューターがNASと会話できる状態にならねばならない。それができない。

 「どうする?」

 初期設定を解説するWebサイトのトラブルシューティングをる。よくわからん。

 「ということでさ、君は滅茶苦茶簡単って書いてたけど、滅茶苦茶困ってるんだわ」

 頼みの綱、I君に恐る恐る電話をした。週末の夜、こんな時間(夜8時頃)電話をしてもいいだろうかと心配しながら。

 幸い、彼はすでに自宅に戻っていた。

 「ああ、そうでですか。だったら、こうして、ああして……」

 言われた通りにした。よくわからないが、いくつかの設定を変え、最後に

 Remote direcftoryのところには、NASの階層構造をすべてスラッシュでつないで入れてください」

 とのことだったので

 Qnap119P(SMB)/Multimedia/Music

 と入力、登録ボタンを押した。

 「ダメ。登録できない」

 「えーっ、ダメ!? ちょっと待ってくださいよ」

 通話に使っているiPhoneをみると、すでに50分が経過している。スピーカーホンにし、彼の指示に従ってコンピューターの接続を見直し、光ケーブルを挿し直し、電源を入れ直し……。

 「あかんわ」

 「そうですね。ボクも調べておきます。ちょっと時間をおきましょう」

 「くーっ、ネットワークプレーヤーってのは面倒臭い! CDプレーヤーのように、つないだらすぐに音が出る、てんじゃないもんな。俺みたいに、その世界に暗くては……。やっぱり、メーカー製を買った方がいいのかいな」


 諦めて日誌を書き始めて5分。I君から電話だ。

 「さっきのRemote directoryですけど、publicって入れてみてくれますか?」

 「あ、そう」


 やった。登録ボタンを押す。

 「ダメ」

 「ああ、もういちど考えます」


 再びI君から電話。

 「そういえば、Qnapのすぐ下にあるフォルダはMultimediaでしたよね。それを入れてください。そして、そのあとにスラッシュ」

 「はいな。Multimediaと。それで、登録。お−、おーっ、できたよ。認識したよ」

 しかし、私のようなド素人から電話で話を聞きながら、適切な指示ができる。この人、頭の構造と知識の半紙はどうナットるンだ?

 「だったら、左上にあるUpdate this folderボタンを押して。そすすると、左下のBrowseってタグの上で何かクルクル回り始めるでしょ? あ、回り始めた。それ、このコンピュータが楽曲名だけ覚えるんですよね。しばらく時間がかかります」

 「分かった。じゃあ、再生できるようになったら電話するわ」

 ということで最終的に

 「音が出始めた!」

 と電話をしたのが10分ほど前である。
 つまり、本日の日誌は、ネットワークプレーヤーのセットアップをしながら書くながら日誌になってしまった。

 いま、小さな音でJames Taylorを再生中。なるほど、小音量だからはっきりしたことは分からないが、何だか音がさらにすっきりしたのに、ずいぶん肉付きがよくなったような気がする。
 大好きな女が、スリムになったのに必要なところには必要なだけ肉がついて、30倍ほどセクシーになったと言えばご理解いただけるだろうか?

 ふっ、もう11時。寝る時間である。比較的短い時間の格闘で目的地に達した。日誌の途中では、悶々としながら日誌を書き終えねばならないのか、と諦めていたのだが。

 いい夢が見られそうである。



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