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 2014年9月10日 映画三昧

 怒りが私の真骨頂でもなく、常日頃憤りをもって我が信条としてるのでもないのだが、何か噛みつきたくなる相手がいないと、この日誌をサボりたくなる私でもある。
 朝日新聞問題は一段落したわけではなく、これからも第3幕、第4幕と続くと思われるが、この数日動きがない。よって、困ったことに、私も日誌のネタがない……。

 にしても、である。
 今週のサンデー毎日(日曜日にでるわけでもないのに、サンデーとはこれ如何に? 毎日新聞、ずっと前から変な新聞に成り下がっている)によると、轡田隆史という朝日新聞のOB

 「自分たちが批判を浴びると居丈高になったり、無視したりする気質」

 が朝日新聞にあるとくっちゃべっている。
 ふむ、これまでの私の分析にこの発言を加えると、朝日新聞とは

 天上天下唯我独尊

 というお釈迦さんと同じ信条を持つ人々の集まり、というか、そういう風を装わなくては

 「お前、何をペコペコしてるんだ? そんなんじゃ朝日の尊厳が保てないではないか!」

 と上司に叱責される、そういう風に部下を叱責しないと、その上司がその又上司から叱責される、でないとその又上司はその又々上司から怒られる、という組織なのか。

 自分でミスに気がつけば、あるいはミスを指摘されれば、軽々と

 「あ、御免。やっちゃった!」

 と頭を下げるのが日常の私には、とても務まる組織ではなさそうだ。くわばらくわばら。

 でもこの組織、やっぱり、そんなことで叱る又々又々上司をまずにし、次に又々又上司をにし、又々上司をにし、上司をにする、という改革をしないと蘇生できないぞ。怒られても叱られても、そんな組織で、何度も怒鳴りつけられる社員というのは、偉くはなっているはずがないないからきっとまとも。悪貨を駆逐してしまえば、他よりずっといい新聞になるのにね、と私は期待するのである。


 などということをずっと考えているわけではない。
 このところの我が日常は、毎朝家族限定のFacebookに、私の50年前の在米写真をアップして

 「『ボス』はどこだ? ゲーム」

 を仕掛けることに始まり、昼間は何となく仕事をしたふりをし、合間を見て高校入試数学に挑み、気が向けば夕刻、ギターをかき鳴らす。そう、どこからどう見ても、会社を誤魔化して給料をもらう不良老年でしかない。

 なお、最近のギター練習は、もっぱらドレミの音を出すことに集中している。ピアノでは、261Hzの「ド」が出る鍵盤はひとつしかない。ところが、構造が違うギターでは、この「ド」が2カ所にある。その上の523Hzの「ド」なんて、5カ所もあるのである。どの弦のどのフレットがどういう音を出すのかを体にしみ込ませなければ上達はおぼつかないと思い至ったためである。

 そして夜。このところ、専ら1950年代後半のアカデミー賞受賞作を鑑賞している。
 昨夜は

 「炎の人ゴッホ」

 1958年制作で助演男優賞を受賞した。絵描きのゴッホさんの、ほぼ伝記である。
 まあ、女に振られるとストーカーまがいの行為に出たり、同居していたゴーギャンがゴッホに愛想を尽かして出ていくと、自分の耳を切り落としたり。生活費は専ら弟に頼り、自分では全く金を稼がない。
 とにかく、行動面を見るかぎり、これほど付き合いにくい人間もいないだろう。それほどの異常性を持たねば芸術など生み出せないということなのか。
 であれば、芸術なんていらないんじゃないの? と考えてしまう私はどこかおかしい?

 いずれにしても、ゴッホの異常性を描くのに急で、

 「だから、何をいいたいの?」

 がはっきりしない作品である。

 一昨夜は

 「麗しのサブリナ」

 衣装デザイン賞受賞作である。
 大きなお屋敷に住み込む専属運転手(うちの屋敷は大きくないが、時折私も専属運転手となる)の娘が、お屋敷の御次男様に長年首ったけだ。見向きもされず、パリに料理の修業に出かけるが、パリは女を磨くのか、2年間のパリ暮らしは彼女を絶世の美女に変えていた。その彼女が帰郷すると、かつては見向きもしなかった御次男様が夢中になる。思いを遂げた彼女だったが、実は独身のまま実業家となって大きなお屋敷を支えているご長男(念のためだが、御次男様は生産的活動は全くなさらず、専門は贅沢と女あさり)が彼女に惚れて、モヤモヤしながら彼女もご長男に惹かれていって……。

 何年にもわたって、単なる穀潰しに憧れ続ける女はバカというしかない、など、突っ込みどころ満載の作品。こんなつまらない話を、それでも見られる映画に仕上げたのはビリー・ワイルダーの手腕であろう。
 だが、こんなシナリオを採用する監督とは……、という突っ込み方もできる。

 前々夜は、確か

 「波止場」

 いわずとしれた、マーロン・ブランド主演の名画で、作品賞、主演男優賞、助演女優賞、監督賞、脚本賞、撮影賞(白黒)、美術監督・装置賞(白黒)、編集賞とアカデミー賞をほぼ総なめ。ばかりか、ヴェネチア国際映画祭
でも、サン・マルコ銀獅子賞、イタリア批評家賞を受賞した。

 うん、確かにいい映画である。テーマは「裏切り」。港湾労働者の組合をヤクザが乗っ取り、美味い汁を吸い続けている。マーロン・ブランドは頭の弱い元ボクサーで、このヤクザ組織のチンピラだ。兄は大学を出た俊才で、ヤクザ組織の幹部である。
 ある日、マーロン・ブランドの友人がヤクザ組織に殺される。組織を裏切り、ヤクザ組織の悪の数々を裁判で証言するはずの前日だった。そして、その殺しに、知らないうちにマーロン・ブランドが関与してしまう。
 友人の死に愕然としながらも、

 「組織ってそんなものさ」

 と割り切ろうとしたマーロン・ブランドだが、その友人の妹が現れて兄の死の真相を追究し始め、彼女に惹かれたマーロン・ブランドは、組織を裏切る決意をする……。

 監督のエリア・カザンは、赤狩り時代のハリウッドにあって、「アカ」の仲間を売ったことで有名である。かつては米国社会の歪みと闘う監督集団にいたのに、仲間を裏切って当局と手を組むとは、と白い目を向けられた。
 そのような立場にあった監督がテーマとして取り上げた「裏切り」。さて、マーロン・ブランドがヤクザ組織を裏切る姿を見て、

 「ああ、エリア・カザンもこんな思いをして仲間を裏切ったんだ」

 と観衆に思って欲しかったのだろう。が、果たして成功したのかどうか。

 ねえ、世の中を変えようというグループ(中にはどうしようもない、かつての赤軍みたいなものもあるが)と、労働者の上前をはねるヤクザ組織じゃ、同じ「裏切り」っていってもね……。

 が、それを抜きにすれば、確かにいい映画で、かつて「シネマらかす」で書こうとして、どうしても書けなかった1本でもある。

 ま、そろそろ映画鑑賞の時間なので、今日はこのあたりで。
 ではまた。


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