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 2014年7月12日 厄日

 今朝のことだった。
 いつものようにキッチンで何かしていた妻女殿がおっしゃった。

 「蜂蜜が必要なのよね」

 何でも、ショウガを蜂蜜漬けにして喉の薬を作るのだという。はあ、そうですか。となると、私はこういわざるを得ない。

 「だったら、黒保根まで行って買ってこようか?」

 わが家で常食する米を作る黒保根では、蜂蜜も生産している。一瓶2000円。甘みを好まない私はあまり口にしないが、なかなか質の良いものであるらしい。
 恐らく、妻女殿は、その黒保根の蜂蜜を必要としていらっしゃる。であれば、

 「必要なのよね」

 の次には、

 「買ってきて」

 というフレーズが続くのは必定だ。何事も、いわれてやるのは気が進まない。どうせやらねばならないのなら、自発的に申し出るにこしたことはないのである。

 「あ、そう? 行ってきてくれる? だったら、お米も頼もうかしら?」

 というやりとりがあって、朝の仕事を済ませた私は家を出て車に向かった。
 向かいながらポケットを探る。まず、車のキーを取り出さねば車を動かすことができない。

 「ん?」

 習慣として、私はズボンの右のポケットに車のキーをしまう。だから右手をポケットに入れて探ったのだが、キーらしきものが手に触れない。

 「おかしいな」

 車は昨夕から駐車場に止めっぱなしである。ということは、キーはこのズボンのポケットになければならないのだが、それがない。

 「どこかで落としたか?」

 落ちたとすれば、昨夕からいままで自宅を出ていないのだから、屋内の椅子の回り、脱衣場、が怪しい。家に引き返して見回った。でも、ない。それでは、と事務所の机の回りを探したが見あたらない。そもそも、キーをポケットから出してどこかに置く習慣はないのである。

 何処に行った? 念のため、もう一度点検したが、やっぱり出てこない。

 「おかしいな。だとすると、車の中でポケットに入れ、それが車の中で落ちたのか? しかし、だとすれば車のドアロックはどうしたのだろう? あれは、キーがなければ操作できないぞ」

 と思い悩んでいても事態は先に進まない。そんなことはないと思うが、車を見てみるか。

 「どうしたの?」

 このあたりで、妻女殿が口を出された。仕方なく、現状をご説明申し上げた。

 「やだー、どうしたの!」

 それが分かっていれば、今ごろキーは我が手中にあるはずである。妻女殿は無駄な言葉の宝庫である。

 車に近づく。おや? ドアロックがされてないぞ。昨日はどうしたんだっけ? えっ、だとすればキーは……。あった!
 何と、キーは車に刺さったままだった。

 そうか、昨日は仕事の後買い物に回り、買ったものはいつも後ろの座席に置くのに、昨日だけは助手席に置いていた。それでリズムが狂い、キーを抜き取らないまま、買い物袋と仕事の鞄を提げて車を出たのか?

 「ちょっとー。キーを車につけっぱなしなんて、取られたらどうするのよ!」

 妻女殿の罵声がやってきた。ふむ、やっぱり無駄なフレーズの宝庫である。
 取られたら、まず保険会社に連絡し、保険金を支払ってもらう。それを加えて新しい車を買う。それほど欲しくはないが、いまならBMWのジーゼル車である。
 ということは決まり切っているではないか。5、6年先に新車に変える予定が、少し早まるだけである。


 そんな騒ぎがあり、妻女殿の罵声を後頭部に受けながら、黒保根に向かってドライブを始めた。
 桐生のドライバーは、不思議な人が多い。そのひとつのパターンが、40q制限の道を35qで走行する超安全運転を実行し、後ろに続く私を

 「おい、この下手くそ。せめて制限速度で走れ。できることなら、お前の前の車と同じ速度で走ってくれ」

 とイライラさせるドライバーである。それだけなら、イライラするだけで済むのだが、こういうドライバーに限って、赤信号でも平気で交差点に入って行ってしまう。道路を制限速度で走るより、あるいは多少のスピード違反をしながら走るより、赤信号の交差点に突っ込む方が遥かに危険だと思うのだが、そういう計算は不得手らしい。

 下手くそ+信号無視

 これでは、交通事故件数はなかなか減るまい。

 ま、それはそれとして、今朝も、そのパターンのドライバーにイライラさせられつつ、国道122号線を黒保根に向かった。桐生からみどり市を通り、日光にまで通じる片側1車線の道だ。両側を緑に挟まれたカーブの多い道は、ドライブ好き、特にバイク乗りに人気が高い。

 あと2、3qで目的地、というところで急に車の流れが悪くなった。先を見ると車が延々と続いている。

 「今日は、そんなにドライブ日和か? でも、桐生に来てこんな渋滞にはまり込むなんて、今年の雪の日以来だなあ」

 そんなことを考えながら、辛抱強く待った。対向車線には時々車が走ってくる。ということは、道路工事か。おい、この道は平日より週末の方が車が多いんだぞ。それなのに、どうして土曜日に工事をする? 少しはドライバーのことも考えろよな。

 車は、3mすすんでは止まり、5mすすんでは止まり、を繰り返す。
 そのうち、おかしなことに気がついた。対向車線を走ってくる車がまばらなのである。工事で片側通行となった際は、車は20台、30台がまとまってやってくるものだ。が、3台きては間が空き、次に2台、時には1台ということもある。

 「下手な交通規制をしやがって」

 いや、まて。5台ほど先にいる車がUターンを始めたぞ。あれ、ずっと先の車もUターンしている。ということは、ひょっとして……。

 と考え始めたとき、向こうから見知った顔が歩いてきた。地元紙の若い記者である。腕章をはめ、カメラをぶら下げている。ということは……。

 クラクションを鳴らして、助手席の窓を下げた。

 「あ、どうも」

 若い記者が私に気がついてくれた。

 「事故かい?」

 「ええ、この先で」

 「完全に道をふさいでいるの?」

 「そうなんです。通行止め状態です」


 やっぱりそうか。それでは、いつまで待ったら先に進めるか分からないわけだ。対向車線を走ってきた車は、Uターンした車だったのだ!

 「ありがとう」

 やむなく私もUターンして自宅に向かった。
 途中、自宅の妻殿にご報告したことはいうまでもない。

 「というわけで、店に行けないんだ」

 「あ、そう。仕方ないわね。帰ってきて」


 いわれなくても、すでに帰途についていますが。

 というわけで午前中を棒に振った私である。厄日だ。


 自宅に着くと、レンタルCDが計18枚届いていた。昨日に続き、リッピング作業に勤しむ。レンタルCDは返却が済むまで次のCDが送られてこないから、作業はできるだけ早急に済ませ、ポストに入れなければならないのである。

 本日のメニューは
 
 ・PANTA
 ・浅川マキ
 ・Ringo Star
 ・Deep Purple
 ・Jeff Beck
 ・Queen



 明日は日曜なのに、どうしたわけか、早朝から仕事。2日続きの厄日である。
 夏ばてせぬよう、適当にサボりながら仕事をしたふりをする予定である。


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