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 2013年3月1日 不思議な安心感

 民主党が政権から大転けに転け、代わって自民党が政権を取って2か月足らず。表現するのは難しいが、何か不思議な感じがしている。

 これから書くことへの前提として、まず申し上げておく。
 この世にオギャアと生まれて63年余り。私は、一度として自民党の支持者であったことはない。若いころは、だめな故国を象徴する存在として、何とかしてぶっ壊したいと思い続けた。
 仕事をし始めてからは、日々の業務に追われてたいして考えることもなくなったが、それでも自民党への嫌悪感は続いた。
 だから、民主党が政権を取ったときは、

 「宿敵がやっと倒れた!」

 と欣喜雀躍する思いであった。
 なのに。

 何か、自民党が政権の座に返り咲いてわずかな期間しかたっていないいま、私の中に、安心感みたいなものが生まれているのである。
 中国が何をしようと、韓国がどんなことをいってこようと(今日は、日本製品のボイコットを呼びかける流通業者のデモがあったらしい)、日本がTPP交渉に参加することになろうと、

 「何とかなるんじゃない?」

 と受け流せるのだ。
 民主党が政権にいたときは、そうはいかなかった。

 「こら、ドジョウ、お前が尖閣列島の国有化なんかするから、おかしなことになったじゃないか。どう収拾するつもりだ? そんな知恵がお前にあるのか?」

 「決められる政治? それで最初にやるのが消費税率の引き上げ? おいおい、国民である俺たちとの約束はどこへ行った。お前ら、いったい何がやりたいんだ?」

 TPP交渉に参加する? こら、ドジョウ、お前、日本がTPP交渉に参加したらどうなるか、ちゃんと考えていってるんだろうな?」

 やることなすこと、私の不安を煽った。お前ら、この国をどうするつもりだ?

 この差は何だろう? なぜ、安倍政権になって、何となく安心していられるのだろう?
 数人の友と語り合ってみたが、よくわからない。

 やはり、自民党には、政権の運用の仕方についてのノウハウが蓄積されている、というヤツがいる。
 
 「そんなこといったって、長老組はかなり引退したし、次の選挙でほとんどいなくなるだろう。残りは、俺たちと同じ世代か、ジャリしかいないじゃないか」

 と反論したが、我々世代の自民党員に、ノウハウが引き継がれているのだと言い返された。

 中国とも韓国とも、長年与党であったことで培ってきたパイプがある。だから、中国や韓国がどれほど騒ごうと、慌てずに対処できるのだ、という輩もいた。

 「パイプ? そんなものホントにあるのか? あるんだったら、一種の国難なんだから、野党であってもそのパイプを使い、収めればよかったじゃないか」

 が、まあ、ギリギリになるまで敵に塩は送らないのが政治の世界の論理なのかもしれないとも思う。

 あれこれ議論しながら、私も考える。
 そういえば、民主党という政権、なにをやっても、いつもつま先立っているような感じがつきまとった。安定感がない。安定しない自分の体を支えるのに、彼らは、私にいわせれば、学生時代に学んだ学問を使った。すべては教科書に書いてある。教科書通りの答えを書けば100点がもらえるはずだ。
 民主党で閣僚を務めた連中は、そう考えていたのではないか。彼らは座学の人々であった。周りの声は一切受け付けない。だって、正しいことは教科書に書いてあるんだもの。
 
 彼らになかったのは、政治家とは、自分たちの決断の集積が、良きにつけ悪しきにつけ、いずれは教科書になるという覚悟はなかったか。政治家とは、過去の集積である教科書に捕らわれることなく、未来を創り出す仕事であると考えた閣僚が一人でもいたか。

 「社民党になってはいけない」

 いま、民主党にいわれる言葉である。
 だが、海江田党首では社民党への道をまっしぐらにたどりそうだ。とはいえ、海江田君に代わる人材がいないのも、民主党の現実である。

 足を使わぬ頭でっかち集団であった民主党の末路はもう見えてきた。
 困るのは、与党にタイマンをはれる政治勢力がどこにもいないことである。競争相手がいなくなったら、権力者は必ず腐敗するんだけどなあ……。

 
 春2日目。
 なのに、老老家庭の我が家は、医者通いの1日となった。

 「夜中に3回も下痢をして」

 妻女殿は今朝、2回の寝室から降りて来るなり、そうおっしゃった。
 朝食は

 「食欲がない」

 と口にせず、ソファで横になったまま。
 それを見ながら私は、朝から整形外科である。今日行かねば、薬が切れる。
 昼前に戻ると、妻女殿は相変わらずソファに横たわっていた。

 「病院に連れて行ってくれる?」

 「午後の診療は何時からだ」

 「2時半から」


 午後一で、私は人に会う予定があった。それを早めに切り上げ、2時過ぎに戻って妻女殿を行きつけの内科医にお連れした。

 「終わったら電話しろ。迎えに来るから」

 という私は、午後5時からマッサージの予約が入っている。しかし、2時半からの診療である。それに遅れることはあるまい。
 
 自宅で待った。3時前に電話が来た。

 「耳の菌が腸に入ったのかもしれないって。それで、食事をしてないといったら、点滴をしてくれるって。1時間ぐらいかかるわ」

 妻女殿は10日ほど前から外耳炎を患っておられる。えっ、外耳炎を起こす菌って、腸に回るの? 自分の耳の菌をどうやって自分のおなかに入れるの? と疑問は募るが、いってみても仕方がない。
 1時間のつもりで待った。が、4時半を過ぎても電話はかかってこない。

 「おい、まだか」

 私から最速の電話をした。

 「まだ点滴中だから」

 「だったら、俺はマッサージに行くから、帰りはタクシーを使え」


 老老家庭の最大の支出項目は医療費であることを実感した1日であった。

 

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