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 2013年1月17日 アベノミクス

 今朝の朝日新聞に、我がセコハン首相が掲げる経済施策、アベノミクスに関する記事が2つ掲載された。お気づきになったろうか?
 あ、申し訳ない。この「らかす」をお読みの方全員が、朝日新聞の読者であるはずはない。上の文章、途中に

 「朝日新聞をお読みの方は」

 という一文を挿入しなければならない。そのあたりは、皆様、それぞれで行っていただきたい。

 で、その記事である。
 1本目は、あのポール・クルーグマン教授がニューヨーク・タイムズに書いたコラムの全訳(多分)である。

 私は、クルーグマン教授のコラムを毎日新聞の記事で知り、前回のこの日誌で紹介した。今朝、この全文を読んで、毎日新聞の衰弱を思った。
 いま、ネットで毎日新聞の記事を検索すると、次のようである。

 【ロンドン坂井隆之】大胆な金融緩和や財政出動で景気底上げを図る安倍晋三首相の経済政策「アベノミクス」が、ノーベル経済学賞受賞者からも評価されている。著名な経済学者のお墨付きを得たことで、首相は一段と自信を深めそうだが、アベノミクスへの期待感が支えになっている円安や株高の持続性には疑問の声もある。
 08年のノーベル経済学賞受賞者で、コラムニストとしても知られる米プリンストン大のクルーグマン教授は11日付ニューヨーク・タイムズ紙(電子版)のブログで、安倍首相が目指す経済政策について「深く考えてやっているわけではないだろうが、結果的に完全に正しい」と“評価”した。
 同氏はかねて、不況脱却のためには大胆な財政・金融政策が必要だと主張。安倍政権が打ち出した20兆円規模の緊急経済対策や、日銀に対する強硬な金融緩和の要求に対し、「(財政破綻のリスクなどを強調する)堅物過ぎる理論にとらわれて他のどの先進国もできなかったこと」と指摘する。
 ただ、クルーグマン氏の分析には、皮肉も交じる。アベノミクスの効果について「国債の金利は上がらず、円は下がっており、日本に非常によい結果をもたらしている」と述べる一方、「安倍(首相)はナショナリストで経済政策への関心は乏しく、それ故に正統派の理論を無視しているのだろう」と推測。金融市場はひとまず好感しているものの、財政持続可能性などに深い洞察を欠いたままの政策運営には、懸念をにじませる
 円相場の 急速な下落と日本株の上昇に対しては欧米でも関心が高く、連日報道されている。ただ、各紙とも持続性には半信半疑で、英フィナンシャル・タイムズ(FT) は12日の記者コラムで「過去20年間、日本株に失望させられ続けてきた。今回、何が違うのかは疑問だ。昔と違い日本が世界に売るものは乏しく、円安は特効薬ではない」と言及した。そもそもアベノミクスは、クルーグマン氏らの主張を裏付けにした側面があり、同氏が評価するのは当然という指摘も。新政権の経済政策の評価が定まるには、なお時間がかかりそうだ。


 私が違和感を持つのは、赤で表記した部分である。
 文章を書く際、「“”」は、それで囲んだ言葉は、その言葉の持つ普通の意味とは違えて使っている、ということを読者に知らせるテクニックである。この文章では、

 「表面上は評価しているように見えるが、本当は(クルーグマンは)アベノミクスを馬鹿にしているんだよ」

 という意味であろう。だとすれば、そのように書けばよい。持って回ったような「“評価”」という書き方は、ライターの品性を疑わせる。

 さらに問題なのは、朝日新聞で読むクルーグマン教授は、アベノミクスを全く馬鹿にしていないことだ。むしろ、正面からアベノミクスを高く評価している。
 朝日新聞をお読みでない方のために、コラムの最後の2つのパラグラフを以下に引用する。

 さて、日本の政治をいくらか知っている人々からは、安倍首相に対する警告を受ける。彼らによると、安倍首相の外交政策は極めてまずいものだ。景気刺激策を支持するのは従来の通年を巧みに拒否したのではなく、むしろたるに入った豚肉を奴隷に配った(たるに入った豆腐だろうか?)ような、大昔から続く利権誘導型の政治に関係しているというのだ。
 しかし、こうしたことは全く問題ではないだろう。彼の動機が何であれ、安倍首相はお粗末な通説を打破しつつあるのだ。そして、もし彼が成功すれば、何か目覚ましいことが間もなく起こるかもしれない。つまり、低迷した経済を真っ先に経験した日本が、今度はそこから脱する方法を他の国々に示すことになるかもしれないのだ。


 思うに、毎日新聞の坂井隆之記者は、セコハン首相が大嫌いなのであろう。それはよい。私だって、坂井記者に負けずとも劣らないぐらいセコハンが大嫌いである。
 だが、嫌いだからといって、文章のテクニックを駆使してセコハンを貶めるのはタブーである。文章で世に立つ以上、絶対にやってはいけないことだ。なぜなら、事実を知った読者は、坂井記者の書く文章を2度と信用しなくなるからである。

 おい、坂井君、セコハンと闘うのなら、もっと正々堂々と、正面から闘いたまえ。ちょっとした文章の綾で一国の首相を倒せるなどという甘さは、君の命取りになる。

 で、もうひとつの赤字部分である。この文章、主語がないことにお気づきだろうか?
 素直に読むと、クルーグマン教授が

 金融市場はひとまず好感しているものの、財政持続可能性などに深い洞察を欠いたままの政策運営には、懸念

 しているように読める。いや、私のような素直な読者には、そうしか読めない。
 ところが、朝日新聞に掲載されたコラムには、どこにもそのような記述はない

 では、「金融市場」主語か? それなら意味が通らないこともないが、残念なことに、坂井記者が、金融市場の見方を取材した痕跡は、少なくとも毎日新聞の記事を読む限り、ない
 主語のない文章で、人を誹謗する。坂井君、それは卑怯である。そのような言葉遣いでは、まともな女は口説けない。君は永遠の童貞か?

 毎日新聞、ろくでもない新聞に成り下がった。


 朝日新聞の2つ目。
 「社説余滴」というコラムで、駒野剛論説委員が、アベノミクスを前向きに評価している。
 その中に、こんな一文があった。

 「本紙社説もアベノミクスの危うさに批判の論陣を張る。だが、私は意見を異にする」

 駒野君、偉い! あんた、多数のヒョロヒョロ論説委員に取り囲まれながら、少数意見を引っ込めなかった。議論の最中は、通説、多数説から一歩も出ない主張を、あたかも自分が考え出したかのように言いつのる同僚に対して、

 「論説委員って、こんな馬鹿ばかりか?」

 と怒り心頭に発したこともあったろう。それをふまえて、この

 「安倍さん、やってみなはれ」

 というコラムを書いた。私は高く評価する。
 あわせて、

 「その上で、首相に注文がある。劇薬には副作用がつきものだ。もしそんな兆しが見えたら、速やかに転換する『出口戦略』を事前に決めておくことである」

 という一文に、駒野論説委員の目配りを感じる。
 今後とも、論説委員室内で闘われんことを願わずにはいられない。

 なお、私、過去の日誌をお読みいただいていればおわかりと思うが、朝日新聞の回し者ではない。朝日の下らぬ記事はずいぶんこき下ろしてきたつもりだ。

 だが、今日は朝日の日である。

 

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