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 2012年12月2日 恐る恐る

 先月末、11月30日の飲み会が終わった後、同席していた友人が、タクシーを待つ間に話しかけてきた。

 「最近、ちょっと良くないのは、何となく読書が安堂さんに引っ張られていることで」

 ん? どういうこと?

 「いや、ほら、時々『らかす』で本を紹介してるでしょ。書かれていると、何となく気になって、読んでみようかな、って気になっちゃって。いまは『未完のファシズム』を読んでますよ」

 ああ、あの強烈に推薦した本、読んでくれているの。あれ、面白いでしょ?

 「いや、まだ3分の1ほどしか読んでないので、何ともいえないんだけど」

 そういえば彼には、「褐色の文豪」(佐藤賢一著、文春文庫)を差し上げたんだよな。いや、差し上げたというか、引き取ってもらったんだよな。

 何しろ私、4週に1回は、会社を休んで妻女殿を車に乗せ、前橋日赤まで行かねばならぬ。待合室で2人、ボーッとしているのも退屈だから、妻女殿を前橋日赤で降ろした私は、けやきウォークまで車を走らせる。ここで時間をつぶすためである。といっても、歩くのは書店と楽器店に限られるが。
 新聞の書評などで購入を決めた本は、amazoneで検索し、中古が安くなるのを待つのが合理的だ。
 しかし、本の楽しみはそれだけではない。書店を散策していると、向こうから

 「ねえ、ちょいと、そこのいい男! 何で私の前を素通りするのさ? 遊んでいきなよ。あんたなら特別にサービスするからさ」

 と声をかけてくる本があるのだ。

 「あんた、格別にいい男だから安くしとくよ。ねえ、ちょいと、遊んでって、たらさあ」

 とまではいってくれないが、そのささやきは耳に心地よい。何しろ桐生にろくな本屋がない以上、その楽しみを知る私は、ろくな本屋があるけやきウォークを歩かざるを得ないのである。

 数ヶ月間のことだ。いつものようにけやきウォークで7、8冊の本を仕込んできた私は、自宅に戻ってその整理にかかった。

 「褐色の文豪。面白そうだな」

 と、未読の本を入れておく引き出しを開けたところ、あったのだ、「褐色の文豪」が。

 「あちゃ、またやっちゃった」

 未読の本がたまると、時折このようなことが起きる。いくら本が好きだといっても、同じ本を2冊はいらない。

 「ねえ、佐藤賢一って面白いんだよ。これ、読まない? 読むんならあげるよ」

 と。ダブルで予習するに至ったうちの1冊を差し上げたのが彼であったのだ。
 私財を投じて、世に読書家を増やす。これも社会貢献といえないこともないのではないか?
 と胸を張れるとも思わないが……。

 「いやあ、あのときはありがとうございました。たしかに、あの本、面白かった。ま、安堂さんって、ボケが始まってるんじゃないかと同情もしましたが」

 それはそれは……。

 「ところがね、私もやっちゃったんですよ、同じようなことを」

 えっ、ホント? ご同慶の至りだねえ。ま、あんたも、俺よりちょっとばかり若いだけだからね。

 「ほら、うちの女房が本好きじゃないですか。それでね、こないだの彼女の誕生日に、本を買ったんですよ。宮部みゆきの『ソロモンの偽証』。用意しておいて、誕生日に渡したら、『あ、これ、読んだ』だって。ま、我が家も3つのキーワードしか夫婦間の会話がない家庭ですから、女房が読んだ本までは知らなかったわけで。そんなわけで、あの3部作、袋に入ったままですわ」

 ……。それって、あんたが惚けたのとちゃうやんか……。

 ん、ということは、「ソロモンの偽証」が3冊、手つかずで無駄になってるってこと? それ、俺にくれないかなあ……。


 昨日あたりから、何となく右肩が楽になったような気がしている。
 それで、恐る恐る、昨日は1時間半ほど、今日は2時間ほどギターを弾いてみた。楽しく弾けたが、さて、明日目が覚めたとき、我が右肩が何をいってくるか。

 「なめんじゃねえよ!」

 と再び暴れ出すのか。

 「よくぞ長い間我慢してくれた」

 と新しい共生関係に踏み出してくれるのか。

 練習したのは

 「アコギ基礎トレ 365日!」

 基本的なテクニックを身につけようとの狙いだが、さて、365日も続くのかどうか。

 いずれにしても、音楽のある暮らしは楽しいものである。

 

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