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 2012年6月21日 廉恥

 昨日まで仕事でバタバタした。それも一段落したので、今日は目覚めると同時に、

 「今日は、サボる」

 と決めた。
 勢いのある決断である、俺にも、まだこの程度のエネルギーはある、だが、

 「サボって……、何する?

 考えた。必死で考えた。

 「そういえば、肩が痛いし、首筋も凝ってるし、腰も今一だし……」

 と、片道20分かけて整形外科に行き、肩、首、腰にリハビリの電気治療。帰りに、我が妻女殿に頼まれた買い物。肉、魚、ヨーグルト、野菜、豆腐、あげ……。重い荷物を抱えて自宅についたのは正午頃。

 「サボる!」

 と大言壮語した割には情けない。人間、齢を重ねると情けなくなり、寂しさも募る。


 と鬱々、ジメジメしていれば、それは私ではない。実は、朝からあきれかえって、怒っておるのが今日の私なのである。

 毎日新聞に、こんな見出しの記事があった。

 「『新聞・出版に軽減税率』 活字文化議連 適用求める声明」

 要は、マスコミに媚びを売り、己のことを少しでもいいように書いてくれよ、という下心を持った国会議員の集まりが、消費税率が引き上げられても、新聞や本。雑誌は例外扱いにして消費税率を引き上げるな、といという記事だ。
 まあ、魚心あれば水心ともいう。このグループに入っていれば、いいことばかり書いてもらえるのかも知れない。だから、それだけなら、

 「ふん! お前ら、アホか!」

 とそっぽを向いていればいい。
 が、読み進んで、そうはいかぬと思った。何と、この声明を出す集まりに、新聞協会長の秋山耿太郎・朝日新聞社長も出席していた、とあった。
 ということは、あれか。新聞社はこぞって、

 「新聞の消費税率は引き上げるな!」

 といってるわけだ。あれまあ。この記事を読んで、

 「お前ら、廉恥(恥を知る)という言葉を知ってるか?」

 と声に出してしまった。

 まだ、消費税率が引き上げられるかどうかは未定である。が、ドジョウのあがきは、どういうわけか屁の突っ張りぐらいの役割は果たしたらしく、どうやら消費税率引き上げ法案が成立しそうな雲行きである。

 それに、最も貢献したのは新聞、テレビのマスメディアだ。財務省にどう説き伏せられたのかは知らぬが、とにかくこの間の報道は、消費税率を引き上げないと日本は破綻するという脅しが続いたことは皆様もご承知の通りである。
 私なんぞが、たいして読んでくれる人もいない「らかす」で、どれほど非を唱えようと、マスメディアの力に及ぶはずもない。おかげで、アメリカは増税への不満から独立戦争に立ち上がったというのに、日本国民は財務省とマスコミのいいなりなって、半数前後が

 「税率引き上げ? 仕方ないですね」

 という惨状になった。素直すぎる国民である。

 こうした国民を作ったのは、新聞を中心とするマスメディアである。奴らは、国民世論に消費税率引き上げを飲ませるのに多大な役割を果たしてしまった。

 それなのに、である。

 「俺んとこだけは、税率あげないでよ」

 ってか。
 おい、新聞よ、あんたら、何様のつもりだ? 世の中の嫌なことはみんな他人に押しつけて、自分だけはのうのうと楽をしようってか?!

 なぜ、新聞や出版物が、ほかより低い税率でなければならないのか? 彼らは異口同音に言う。

 「知識や情報に課税しないのは、先進国の常識である」

 であれば、常識を疑えばいい
 常識を疑うとは、すべてを原点に戻して考えることである。

 私は次のように考える。
 人が生きていくのに最低限必要なのは、

 衣・食・住

 であることが原点である。私によれば、生きるのに必要な順番は

 食・衣・住

 だと思うが、ま、この際どうでもよろしい。どうでもよくないのは、この3つの中に、新聞も出版物も入ってこないことである。
 食と、衣と、住がなければ人間は生きていけない。しかし、新聞がなくても、本や雑誌がなくても、人は生きていいける。活字大好き人間で、大多数の人より多く本を読み、「新・平家物語」もすでに13巻まで読み進んでしまった私は、そう思う。新聞や本、雑誌が欲しくなるのは、衣食住が充たされているからである。

 であれば、消費税率が引き上げられたとして、軽減税率の適用は、人間の生存に必要な物を優先すべきではないか。
 まず、食料品、次に衣類、そして住宅。それでもゆとりがあれば、人間が生きる上で必要な物から順に、税率を引き下げればいい。あたり前の順番ではないか? 新聞や本が、優先順位の何番目に来るのか、私にはよく分からない。
 新聞協会長という職にありながら、そんなあたり前のことも考えず、新聞・出版にだけ税率軽減を求めるのは、アホである。アホでなくても、業界エゴの塊、というしかない。言論で立つ人には、恥という概念はないのであろうか?

 「いまでも不況に苦しむ新聞、出版社は消費税率の引き上げ分は価格に転嫁できず、軽減税率を適用してもらわねば経営悪化は避けられない」

 と彼らはいうのであろう。
 悪化すればよい。それでなくても、多くの中小企業からは

 「増税分は価格転嫁できず、倒産するしかない」

 という嘆きの声が出ている。それを無視して増税ありきの論陣を張ってきた責任を果たすには、自らも同じ税率で商売するしかないではないか。それができなければ、貴方たちの論陣とは、いったい何なのか?

 というのが、朝からの私のわだかまりである。
 ま、こんなところで、こんなことを書いたって、世の流れを変えられるとは思わないけどね。

 あとで、朝日新聞をもう一度見た。同じ記事が、でも、小さく出ていた。

 

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