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 2013年5月11日 祝日

 本日は私の祝日である。さて、何の祝日か?

 誕生日は今月の22日である。今日ではない。また、今日であったとしても、それは祝日ではない。この歳に担って誕生日を祝う神経を、私は持ち合わせてはおらぬ。

 国民の祝日でないことは、カレンダーを見ればわかる。

 5月11日生まれのガールフレンドを持った記憶はないから、その類でもない。

 あの娘と初めて××した日は記憶にないから、そもそも祝日にはなり得ぬ。

 では、何を祝う?

 恐らく、読者の皆様の記憶からはなくなってしまっているであろう。実は1年前、私は交通事故を起こしてしまったのであった。えっ、どんな? ああ、そうだったっけ? とお思いの方はこちらをお読みいただきたい。

 あの事故で、私は減点5の行政処分を食らってしまった。あと1点減点されれば即免停というぎりぎりのところである。だから、事故を起こさぬよう、違反は見つからぬよう、常にもまして注意しながら愛車のハンドルを握り続けた1年であった。
 
 その減点が、本日いっぱいでクリアされる。本日いっぱい—あと3時間足らずであるが—は、もうビールも飲んだことであるし、車を運転するはずもない。これから寝て、目が覚めれば、私は再び持ち点15の、普通のドライバーになる。天下晴れて交通違反ができる?
 これを祝わずしていられようか?!


 その祝うべき日、朝から整形外科に行った。2週間分しか薬を出してくれないので、定期的に通わなければならないのである。

 「どうですか」

 医師はいつも同じ質問をする。多分、ほかに聞くことがないのであろう。病状に変動がなければ、いつものように

 「ま、たいして変わりはありません」

 と答えるのだが、本日はやや違った。

 「腰はあまり気にならなくなったんですが、肩が痛くてねえ」

 医師は、前回私がいったことを中途半端に記憶していた。

 「あの、小さくて薄いギターを弾いてもダメですか?」

 私は、小さくて薄いギター、具体的にいえば、Martin 000-28、ないしは Martin 000-28EC を買ったともいってなければ、それで練習を始めたともいっていない。

 「小さくて薄いギターなら肩への負担が小さくて、こんな腱鞘炎にはなりにくいのではないか、と思うんですけどどうでしょう?」

 と相談しただけである。
 その時あなたは

 「ふーん、そうかも知れませんねえ」

 といったではないか。それが、わずか2週間のうちに、私がすでにMartin 000-28、あるいは Martin 000-28ECを購入して練習を始めたという情報に変質している。
 情報伝達とはなかなかむつかしいものなのだ。

 「いや、小さくて薄いギターはまだ買ってませんし、そももも、ここ10日ほど、ほとんどギターに触っていないんです。それでも痛みが引かないものだから」

 「ああ、そうですか」

 としばらく考えていた医師は、

 「じゃあ、しようがありませんね。注射しましょう、肩に」

 えっ、注射? だって、夜眠れないほど痛いわけでもないし、そんな荒っぽい治療をする段階なの?

 「大丈夫、たいして痛くありませんから」

 そういうと、後ろを向いて指示を出した。

 「安堂さん、そう、肩に腱鞘炎の注射するから用意して」

 逃げられなくなった。厄日かも知れない。

 私の右肩を方々触り、痛点を見つけると、そこに注射針をズブリと刺した。いわれたとおり、それほど痛みは感じなかった。ん? 痛みを感じにくい歳になっただけだよ、なんて不届きなことをつぶやいているのは、どこのどいつだ?

 「今日はお風呂には入らないでください」

 「えっ、風呂はダメ?」

 「肩の中にまで注射液を送り込んでいますので、雑菌が入ると困ったことになります。ま、今日は風呂もシャワーもやめて。その代わり、明日は大丈夫ですから」


 いや、それって、代わりになっていないんだけど……。

 「で、アルコールは?」

 「はい、大丈夫です

 「だったら、風呂は諦めましょう」


 と注射をされて10時間ほどたった。確かに、痛みが薄らいだ。まだ、部分的に痛むところはあるが、全体の5割から6割の痛みはなくなったように思う。

 「だったら、もっと早くから注射してくれればよかったのにな」

 帰宅して我が妻女殿に申し上げた。

 「お医者さんってね、何故か注射するのをいやがるのよね」

 彼女には、それ以上を追求する意欲はない。世の中は、その程度の知識で渡っていけると高をくくっている。医者のそのような行動には何らかの理由があるとは考えない。

 医者が注射を避けるのは、間違って神経を傷つけたりする事故が起きるリスクが伴うからである。医療行為のリスクはできるだけ避けたい。薬で治せるものなら、そちらの方がはるかにリスクが小さい。
 やたらと注射針を振り回す医者は、リスク管理がおろそかなのである。


 この分で行くと、うまくすれば明日には肩の痛みとおさらばできるかも知れない。誠に喜ばしいことである。

 が。

 肩の痛みがなくなったら、いまのギターで練習を再開するのか? それとも、薄くて小さいギターを新たに購入するのか?
 肩の痛みが去れば去るで、新たな悩みが押し寄せそうな、本日、祝日である。 

 

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