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 2012年4月22日 陽だまりの樹

 7時のニュース、夕方の群馬ローカル放送など目に覆わんばかりの堕落ぶりを見せるNHKではあるが、いいドラマを作ってくれる。
 夕食を終えて、録画済みの陽だまりの樹1〜3を見た。

 という話を書こうと思うのだが、ついつい前ぶりに最近のNHKのどうしようもなさを書いてしまったので、それを少々。

 ニュースがワイドショーと化している。冷静に事実、出来事を伝えればいいと思うのだが、途中からニュースなのか情報番組なのか分からないものが紛れ込み、はしゃいではいけないキャラのアナウンサーが、わざとらしくはしゃいでみせる。痛々しくて見ていられない。
 どうなっちゃったの、NHK?

 今月から始まった群馬県の県域放送。まず、登場するキャスターが何ともいけない。我が妻女殿は

 「この男の子のヘアスタイル、何とかならないかしら?」

 というだけだが、もちろん、ヘアスタイルも、衣服も、まったく似合っていないのだが、問題はそのようなところにはない。

 「おい、兄ちゃん、何を偉そうに、上から目線で教えてくれようとするんや?」

 というのが、本質である。私は群馬に住んでまだ4年目に入ったばかりだが、それでもこの兄ちゃんより群馬には詳しい。ましてや、ずっと群馬に住んでおられる方々は、この兄ちゃんより、私より、はるかに群馬には精通しておられるはずだ。
 ところがこの兄ちゃん、そんなことは歯牙にもかけない。NHKという大組織をバックにしている思い上がりか、群馬の真の姿は、ほれ、これですよ、あんたたち、知らなかったの? てな態度でニュースを読む。
 いけ好かない。

 一緒に出てくる女の子も考え物である。
 見目麗しくあるのが理想だとはいえ、全員がそのように恵まれた姿形で生まれてくるわけではない。若く美しい女性を恋い求める私ではあるが、その程度の現実は理解しているつもりである。
 だが、現実は、見目麗しくなくとも、可愛らしい女性はいる。見目麗しくない女性にどうしようもなく惹かれることもある。現実には、見目麗しく生まれつかなくても、人を引きつけることはできる。
 が、この姉ちゃんのように、己の容姿に、本人からすれば善意の誤解、周りからすれば思い上がりがあっては、かわいらしさなんてどこにもなくなる。
 姉ちゃん、鏡買ってやろうか?

 そして、この番組を作っているディレクター。県域放送が始まったというので、盛り上げようと群馬県出身の有名人のリレーインタビューを放映中だ。
 が、どれを聞いても、

 「そのコメント、別に群馬県でなくても、北海道でも島根県でも高知県でも通じちゃうよなあ」

 というものばかりである。おいおい、それって、群馬の魅力をちっとも発信してないって。逆に、群馬って、特段の魅力がない三流県であると公共の電波を使って宣伝しているに過ぎないって。

 この番組、一刻も早く担当者は交代していただきたい。

 以上が前ぶりの解説だ。
 で、陽だまりの樹、である。

 放映済みは、全12話のうち3話だけである。それをまとめて見た。そして、途中からウルウルし、最後は大粒の涙をこぼしてしまった。
 手塚治虫の原作がいいのか、NHKのドラマ版の力量か。清涼剤と呼びたくなるドラマである。

 時は幕末。関東の小さな藩のくそまじめな下級武士と、女たらしの蘭法医の卵がふとしたきっかけで知り合い、友情を育む。だが、単純には行かない。幕府はすでにつぶれかかっている。さっさとつぶれてくれればいいものを、下級武士はその中で自分はどう生きるべきかに悩み、医者の卵は幕府お抱えの漢方医が振るう権勢に抑圧される。
 そういう荒波の中で、時代のすべては理解できないながら

 「でも、正しいことは正しいではないか」

 と2人は生きていこうとする。

 若さが羨ましくなった。世の中の全体像を見たいと思いながら見ることがかなわぬまま、手探りで自分の人生を作り上げようとする。

 思いを寄せる女性に

 「もう刀は抜かない」

 と誓った下級武士は、自信の避難民をやくざから救うため、心ならずも刀を抜いて切ってしまう。ぶきっちょなこの男、彼女の前でいう。

 「約束を破ってしまいました。私はあなたに相応しい男ではない」

 こういう不器用さ、私の琴線に響く。

 女が大好きな医者の卵は。大坂の適塾で学ぶために訪れた大坂で、入塾する前に登楼し、女を買う。事が終わった翌朝、女が苦しみ出す。腸が化膿(多分、十二指腸が化膿して破れたのであろう)したのが原因との見立てをするが、当時は公が認めた漢方医でなければ診断、投薬ができなかった。やってきた漢方医は

 「腹の虫じゃ」

 と虫下しを飲ませる。
 彼は、

 「これじゃ女は死んでしまう」

 と、いったんは自分で手術することを決意するが、やってしまえばお上のおとがめは避けられない。それに、手術などやったことがない自分にできるのか。
 とうとうメスを震えないまま、女は死ぬ。それを見た彼は自分が許せない。漢方医を殴りつけただけでなく、お上の目を盗んで腑分けをし、死因を確かめようとする。
 女とやることしか頭にないスケベ兄ちゃんが、医学の道に目覚めた……。

 いい加減に見えても、実は硬派。これもいい。
 ちなみに、このスケベ兄ちゃん、手塚治虫の先祖らしい。

 不器用に、でも、ひたすらにこの2人は時代の中を生きる。実にすがすがしい青春ドラマである。

 でも、それで何故涙が出るのだろう?
 すでに若くはなくなった自分を哀れんだのだろうか?

 ふむ。でも、気持ちのいい涙であった。

 

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