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 2011年11月25日 地震予知

 今朝の朝日新聞1面を見て、私はぶっ飛んでしまった。
 見出しは、こうある。

 M9級『30年内に30%』」

 あの東日本大震災を引き起こした地震と同規模の地震が30年以内に起きる確率が3割もあるというのだ。3割といえば、イチローの打率とあまり変わらない。
 10回打席に立ち、うち3回はヒットにする。相手チームの投手にしてみれば、とてつもなくおっかないことである。しかも、M9級となれば、これはホームランである。あのイチローですら、10回の打席で3本のホームランは打てない。いや、ベーブルースだって、ゲーリックだって、王貞治だって、中西太だって打てなかった。

 そんなとてつもないことが起きるというのである。これは天下の一大事ではないか?!

 誰が、そんなとてつもない未来予測をしているのか? 読み進めて、安心した。政府の地震調査研究推進本部なのだそうだ。

 「あ、東日本大震災を、まったく想定していなかった人たちね」

 そう思って、胸をなで下ろした人も多いに違いないと思う。少なくとも、私はそう思った。そう、まったくあてにならない専門家たちの予測なのである。東日本大震災を想定すらできなかった研究の水準で、これから30年先までの予測ができるのか? 

 「できるわけないジャン!」

 というのが、普通の見方である。
 ねえ、専門家の皆さん、あんたたち、いつまでオオカミ少年をやる気なの?

 東日本大震災以来、私たちは「専門家」のいい加減さを嫌というほど見てきた。原発の専門家は、詰まるところ、原発マネーで研究し、暮らしを立てる人々の集団に過ぎなかった。事故を未然に防いでこそ専門家の価値があるはずなのに、起きてしまった事故に「想定外」という説明しか与えられない人たちだった。
 
 リーマンショックを引き起こしたのは金融の専門家であったし、政治の体たらくを招いている主犯は、自称政治の専門家である政治家たちであるし、財政危機の根源は、財政の専門家である財務省の役人たちではないのか?
 専門家、って、何だろう?

 おおざっぱに言えば、それによって暮らしを立てており、それを知的に見せかける技を持つ人々を、我々は専門家と呼んでいるらしい。


 地震に戻る。
 地震の専門家という人々は、日本に地震があるから専門家でいることができる。この方々は、地震がなくなれば職を失う人々である。地震があるとしても、震度2や3ですんでいるのでは、この人々の生きる世界はない。時折、多少家具が揺れる程度の地震に、専門家はいらない。ま、それでも地面が揺れるメカニズムを研究したいという人は勝手にやればよろしい。
 やっぱり、多くの人が家も家財も命もなくしてしまうような大地震が起きてくれないことには、地震研究は脚光を浴びないのだ。多額の研究費を手にし、好き勝手なことをするには、時折強烈な地震が来てくれるに越したことはない。

 来るぞ、来るぞ、と煽れば煽るほど、研究費という名の税金が彼らの元に集まる。その金でどんちゃん騒ぎをしているとはいわないが、好きな研究をするためにも、彼らは、構造的にオオカミ少年にならざるを得ない。阪神大震災を予測できなくても、東日本大震災を想定すらしなくても、起きてしまえばこっちのもんだ。専門家ということでメディアの脚光を浴びるし、研究費も潤沢に確保できる。

 と、私がが断言してよいほど、いい加減な学者ばかりではない、と思いたい。なぜ、大きな被害を防げなかったのか。自分が一生をかけた研究とはその程度のものなのか? うちひしがれ、さらに研鑽を積もうと心を引き締めている研究者が沢山いると思いたい。

 その方々にお願いしたい。
 いまの、地震に関する知の水準はどのあたりまで来ているのか、判りやすい言葉で我々に語ってもらえないだろうか。現在の学問の水準で、本当に地震を予知することができるのか、できないのか。正直に告げてもらえないか。

 できる、のなら、我々はそれを頼る。
 できない、のなら、我々は自衛するしかない。

 それを判断するためにも、我々に判る言葉で、現在の学の到達点をお教え願いたい。 

 朝日新聞によると、今回の予測は

 「1611年の三陸沖、1677年の房総沖、1896年の明治三陸沖地震など大きな津波被害を出す地震が起きていたことを踏まえ、津波から地震規模を推定する方法で予測。M8.6〜9の地震が起きる可能性があると判断、この海域の大地震の履歴を統計的に解析して、今後30年の発生確率は30%と推定した」

 とある。
 予測とは、この程度の統計分析に過ぎないのか? この記事をそのまま読めば、1897年に予測しても、

 「M9級『30年内に30%』」

 ということになる。つまり、1926年までにM9級地震が起きる確率は30%だった。それが実際に起きたのが2011年であることをどう説明するのか?

 専門家とは、社会がその分野で期待する働きをして初めて専門家であると胸を張れる。金融危機を引き起こす金融の専門家や、政治の停滞を招いている政治の専門家や、財政危機を唱えるだけの財政の専門家や、福島原発の事故を「想定外」と説明する原発の専門家は、言葉の本当の意味からして、矛盾している。

 地震学の専門家と胸を張って自称できる専門家の登場を期待する。

 

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