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 2011年11月10日 驚いたことに

 明日、私のコンサートが開かれる。
 演奏するのは私だけ。歌うのも私だけ。全くの個人コンサートである。

 「ねえ、安堂さん」

 という、同業他社氏のひと言から、それは始まった。

 「鍋をつつきながら、安堂さんのギターと歌を聴く会、というのをやりたいんだけど、どうでしょう?」

 私のギターと歌? 唖然とする顔をする私に、彼は続けた。

 「ま、ギャラは聴衆一人500円程度ということでやってもらえませんか?」

 こいつ、たった500円ポッチ、10人集まっても5000円ポッチの金で、私のギターと歌、ひいては私の人格を笑いものにしながら、酒を飲もうという魂胆なのか?

 「いえ、ほら、最近、みんなで酒を飲んでないし。飲むんだったら、ほら、みんなで盛り上がりたいし。どうでしょう、安堂さんのおたくを拝借してやっちゃうっていうのは?」

 ギターと歌。私はまだ、発展途上人である。人様の前でご披露できるような腕前に到達したとは、毛頭思っていない。
 が、なのだ。人間、いつになっても発展途上人である。敬愛するEric Claptonだって、いまだに発展途上人ではないか? 発展途上人でなくなるということは、棺桶に全身を入れることではないか?

 と、七面倒くさく考えたわけではない。私にも、自己顕示欲があるというだけの話である。
 二つ返事で、

 「いいよ」

 と乗ってしまった。

 「ただ、ギャラをいただくほどの芸ではないと自認しておる。ギャラをもらって、演奏や歌を間違えたりとちったりしたらどうする? いいのだよ。みんなでコストを分け合う飲み会にしよう。私が恥をかいて、みんなが幸せな気分になれるのなら、大いに恥をかいてやろうではないか」

 そう、私は太っ腹なのだ。私一人の不幸せで多くの人が幸せになれるのなら、どうして躊躇することがある?

 「ただ、うちは女房の体調が思わしくないので、場所を変えよう。それだったら乗る」

 というわけで、もう一人の同業他社独身氏の家にお邪魔することになった。いや、家といっても、彼の会社が用意したものである。桐生における我が家と同じである。一軒家だから、多少騒音を出しても大過あるまい。

 というわけで、私のコンサートは明日午後7時にスタートする。

 いくつか用意した。

 「みんなも歌ってみたら?」

 と薦めるつもりで、歌詞カードを作った。
 曲目は、

 ・Layla
 ・Old Love
 ・San Francisco Bay Blues
 ・Tears In Heaven

     
—以上、Eric Clapton
 ・Across The Universe
 ・Norwegian Wood

     
—以上、The Beatles
 ・プカプカ

     —ディランU
 ・ジェームス・ディーンにはなれなかったけれど
     —岡林信康
 ・さようなら世界夫人よ
     —頭脳警察

 である。さて、聴衆はこのうちの何曲を知っているか? 歌えるか?

 さらに、我が家でカツオの手コネ寿司を作り、サラダも用意して持参する。日本酒も1本下げていく。ギャラは断ったし、まあ、かなりの持ち出しとなる。
 ま、いいではないか。みんなで気持ちのよい夜を過ごせれば、それに越したことはないのである。大いに恥をかいてうなだれながら自宅に戻る恐れがあるのは私だけである。

 明日は土曜日。恐らく、私は朝からリハーサルに追われる。
 リハーサルのしすぎで、本番出は声がかすれてでなかった、なんてことにならねばよいが。


 本日、デスクライトが届いた。なかなか立派である。これがトータル9000円だと気がつく者は滅多におるまい、といいたくなるほど満足している。

 では、明日への備えがあるので、このあたりで……。

 

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