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 2011年5月8日 終わった

 今年の、私の黄金週間が終わった
 本日午後3時前、無事桐生に戻ってきた。

 昨日は、朝8時過ぎに桐生を出て、啓樹、嵩悟、長女を品川駅まで送った。
 駅の新幹線側で3人を見送り、横浜の瑛汰宅に向かった。運転しながら、違和感に捕らわれた。ん? 見馴れぬ物が車内にある。

 長女のiPhoneだった。こいつには啓樹の好きな曲がいっぱい入っている。私のiPodの曲に飽きた啓樹が取り出し、車のオーディオにつないで桑田佳祐の新しいアルバムの曲を聴いていたのである。それを、忘れていった。

 携帯なしでは困るだろう。私は自分のiPhoneを取り出し、長女に電話をかけようとした。

 「お前、携帯忘れてるぞ! 馬鹿者!!」

 いや、待て。ここで長女の携帯に電話をしたところで、着信音を発するのは車内にあるiPhoneである。馬鹿者! という怒声を聞くのは私にならざるを得ない。意味ないじゃん!!

 が、かといって連絡を取る手段はない。ま、いいか。1日2日、携帯がなくてもたいして困ることはあるまい。四日市の自宅に着いたころに電話をし、宅急便で送ればいいだろう。

 すぐに桐生に残してきた妻女殿から電話があった。

 「携帯忘れたって電話があったの。それで、川崎駅まで電車で行くから、お父さんも川崎駅に来て欲しいっていうの」

 はい、分かりました。ご命令に従います。
 川崎駅に向かい始めたら、すぐに横浜の次女から電話が来た。

 「お姉ちゃんが携帯を忘れたって。だからお父さん、うちに来て」

 いや、それはいまお母さんからも電話をもらった。だから川崎駅に向かっているところだけど、なぜお前のうちに?

 「雨降ってるし、お姉ちゃん、子供2人連れて雨の中、お父さんの車まで行くのは大変でしょう」

 なるほど。お前も川崎駅まで行って携帯電話を届けるってか。
 見上げた姉妹愛である。

 横浜の自宅で次女と瑛汰を拾い、川崎駅へ。次女だけ車を降りて駅構内に向かう。しばらく待っていると、

 「ボス!」

 と言う声が聞こえた。ボス? そういうのは、瑛汰と啓樹しかいない。瑛汰は車の中に私といるし、啓樹は駅構内にいるはずだが……。

 目をやると、啓樹が手を振っている。結局、横浜の次女宅に一度向かい、昼食を済ませてから四日市に引き上げるということで話がまとまったらしい。

 横浜の自宅に着き、私は瑛汰と公文教室。戻って昼食を済ませ、次女、瑛汰、璃子も伴い、長女一家を新横浜に送る。

 「啓樹、忘れた病は早く直しなさい!」


 戻ってからは、かねての予定通り本棚の仕上げにかかる。高さ91cmの本棚上部を52cmに切り詰め、182cmの本棚本体と金具でつなぐ。
 夕方5時前には、高さ234cmの本棚が完成した。

 夕食後、8時過ぎに瑛汰と布団に入る。本を読み聞かせ寝かしつけいている間に私も眠気が差し、入眠。10時頃一度目覚めたが、起きる気力がなく、そのまま睡眠。


 今朝は5時過ぎに目が覚めた。早すぎるのでもう一度寝ようかと思ったが、さすがに眠れない。仕方なく起き出し、玄関を出てタバコを吸いながら新聞を読んでいると、家の中で足音がする。誰だ、こんな時間に起きるのは?

 「ボス、どこに行ったの?」

 瑛汰の声がした。半泣きの声である。瑛汰も目が覚めたらしい。

 「ここだよ、ここにいるよ」

 2階から駆け足で下りてきた瑛汰が、

 「どこに行ったかと思っちゃった」

 と抱きついてきた。

 「瑛汰がいるんだからどこにも行かないよ。目が覚めたから、っこで新聞を読んでいたんだよ」

 「瑛汰、心配しちゃった」


 2人で布団に戻り、

 「瑛汰、もう一度寝なさい」

 と諭したが、もうダメである。

 「瑛汰、眠れないよ」

 6時過ぎに2人で起き出した。

 「今日起きたの、ボスが1番で、瑛汰が2番だね」


 朝食を済ませて、次女、瑛汰、璃子と川崎のラゾーナ。瑛汰の本棚を埋める本を買うのが主目的である。

 「瑛汰ね、図鑑買うの。図鑑、4つも買っちゃうんだから。ボス、いいでしょ」

 瑛汰に、知識を広げる図鑑が欲しいといわれて拒否する自由は、私にはない。

 「えーっとね、動物の図鑑と、お花の図鑑と、それから、何にしよう?」

 瑛汰、行って、見て、それから決めればいいだろう?

 「うん、そうだね」


 なるほど、子供向けの出版事情とはこのようなものか。ほとんど同じ図鑑が小学館と学研から出ている。瑛汰と2人、まず動物図鑑を比べてみた。瑛汰、どっちの図鑑がいいかね?

 目次を見て決めた。小学館の図鑑は「ウマ目」「ウシ目」など、学術的な用語が使われていた。対する学研の図鑑は「ウマの仲間」「ウシの仲間」と書いてある。ま、いずれにしても中身には大差はないはずだ。であれば、子供が理解しやすい言葉を使う親切さを持っている出版社の方がいい。目次に気を使うほどだから、中身も子供に分かりやすく記述してあるのではないか?

 というわけで学研に決め、動物図鑑、植物図鑑、それに人体図鑑を購入した。4冊目は瑛汰が迷っていたので、

 「瑛汰、図鑑は重たいぞ。3冊でも瑛汰は運べないかも知れない。4冊にしたら絶対に持てないぞ」

 と、極めて非学術的な説得を試み、瑛汰の納得を得た。1冊2000円。また、財布が軽くなった。

 瑛汰のリクエストでお好み鯛焼き(お好み焼きの具が鯛焼きのあんこになっている)を買って帰宅。昼食はこのお好み鯛焼きとそうめん、蕎麦。

 「瑛汰、今朝は早く起きたから眠いだろう。ボスと昼寝をしよう。瑛汰が寝たらボスは帰るから」

 と話しかけるが、瑛汰は

 「眠くない」

 の一点張りである。そうか? ラゾーナからの帰りの車で眠りかかっていたけどなあ。

 どうしても瑛汰が寝ないので、1時前に横浜を出た。

 「バイバイ!」

 と車中から声を出す私に、璃子はニコニコ笑いながら手を振った。璃子はいま、手を振るのと、いやいやをするのが得意である。ニコニコ笑いながら手を振り、いやいやをする。
 瑛汰は涙目であった。
 なあ、だからボスとお昼寝をしたらよかったのに。寝てる間ににボスは帰ったのに。

 という次第で、今年の、私の黄金週間が終わった

 夜、瑛汰からメールが来た。

 「ボスきてくれてありがとう。えいたより」


 そういえば、世の中には変わった人がいる、と痛感した出来事が最近続発した。

 3日。私は妻女殿と一緒に、品川駅で啓樹たちが到着するのを待っていた。妻女殿は足が悪い。長く立ち続けるのは無理である。私もヘルニア持ちになってからは、同じ姿勢を続けるのが辛い。
 というわけで、コンコース沿いの喫茶店に入った。

 すぐそばの席に、若いカップルがいた。女性は、私でも見とれたくなるほどの美女でである。なるほどと思いつつ、我が視線が彼女に流れるのを必死で押さえつつ、デート相手の男性を見た。いやはや、これもなかなかの美形である。爽やか系で、私なんぞ、足元にも及ばない。極めて残念なことではあるが、事実だけは認めねばならぬ。

 2人の間には、iPadが置いてある。恐らく、男性が持ってきたものである。

 「俺、こんなものを身銭を切って買うほど時代に敏感なんだぜ!」

 というデモンストレーションと受け取るのは僻み根性であろう。恐らく、最新機器で彼女を喜ばせたいという純粋なサービス精神に出たものであると、無理矢理考えるしかない。

 美男美女。昼前の品川駅のカフェ。そしてiPad
 とそろえば、ロマンスの花が咲く(というのは、かなり古くさい表現だが……)はずである。いや、花は咲かなくても、話題は盛り上がるはずである。

 ところが、なのだ。2人の間にほとんど会話がない。もう、とうに耐用期限が切れているかも知れない我々に比べても、言葉が少ない。
 男は、目の前の美女に話しかけることもなく、iPadを操作している。絶世の美女はすることもなく、窓の外を眺めている。

 おいおい、君たち。君たちは今日が憲法記念日であることをわきまえているのか? いや、憲法記念日までは知らないとしても、今日が国民の祝日であることぐらい分かっているであろう。簡単に言えば、今日はお休みの日なのである。
 そんな日に、君たちはわざわざここまで出かけてきた。彼女に、彼に会うためではないのか? 会って、充実した時間を寄り添って過ごすためではないのか?

 なのに、どうしてしらけ鳥が飛ぶのかね(ああ。これも古い!)? こんなことなら、自宅にいて好きなことをやっていた方がよほどいい時間を過ごせるのではないのかな? 何のために休みの日、こんなところまででかけて、こんなことやってんの? おじさんの理解をはるかに超えるなあ。

 なんだったら、おじさんが手ほどきしようか? こんな美女を目の前にしたら、いくらでも口説く言葉はほとばしり出るのだがね。ねえ、お兄ちゃん、と声をかけようとしたら、啓樹から電話が来た。

 「ボス、着いたよ!」

 我々は駅で昼食を済ませ、桐生に向かった。
 あの2人、あれからどうしたのだろう? 気にしても仕方がないが……。


 その数日前である。私は前橋で開かれる送別会に出るため、午後5時半過ぎにタクシーで桐生を出た。不思議な車に気がついたのは前橋に入ったころである。

 我がタクシーの前を行くのはワゴンタイプの軽自動車であった。色は黒。前言を翻すようだが、別に変わったところはない。

 変わっているのに気がついたのは、しばらくたってからだった。リアウインドウ越しに何やら動くものが見える。それも2つだ。

 「運転手さん、悪いけど、前の車にもう少し近づいてくれる?」

 ま、物好きといわれても甘受するしかない。だが、窓越しにちらちら動くのは何であるのか。どうしても気になったのである。
 近づいた。見えた。動くものは液晶テレビの画面だった。それがご丁寧に、運転席と助手席の背後に1つずつ取り付けてある。見比べると、同じ絵が動いているから、同じテレビ番組を流しているのである。ちらつきがないところを見ると、すでにデジタル放送に対応する設備投資済みとみえる。

 軽自動車の後ろの座席に乗る人のために、モニターが2つもいるか? 変な人である。
 しかも、なのだ。どんなに首を伸ばしてみても、後ろの座席には誰もいない。とすると、このテレビ放送、誰のために映し出されているんだ? 後ろの車の運転手に見せようってか?

 軽自動車後部座席に2つのモニターデジタル対応済み見る人なしの上映

 「運転手さん、俺なら、同じ金を使うのなら、もう少しいい車を買う方に使うけどね」

 運転手さんも同意見であった。そして、この軽自動車を運転している男は、どこか変だということで2人の意見は完全に一致したのであった。


 さて、明日からまた日常が始まる。
 なのに、腰が、腰が……。黄金週間、働きすぎたか?

 

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