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 2011年4月12日 余震

 瑛汰と啓樹に、東西飯店の餃子をを送る手配をした。
 きっかけはメールである。

 「ぎょうざつくってください。うなぎおくってください。」

 このメール、瑛汰から日曜日に届いた。促音、拗音の使い方を早くも覚えたのか。それとも、親の添削が入ったのか。
 いずれにしても、メッセージは受け取った。

 「ぎうざつくてくださいうなぎおくてください」

 でも、メッセージはきっちり受け取られたはずだが、まあ、いかなる場合でも言葉は正確な方がよろしい。

 さっそく反応したのは、妻殿である。届いたメールをプリントして渡したところ、1000円札を4枚握りしめて私のところに来た。

 「鰻は送ったばかりだから、餃子送っておいて」

 ま、それはいいが、あのー、これじゃ足りないんだけど。

 「だって餃子でしょ」

 冷凍パックで送ることができる最低単位は20人前、120個。1人前が6個で300円だから、餃子だけで6000円。加えて冷凍宅急便が1050円だから、締めて7050円かかるのよ。

 「何でそんなに高いのよ。10人前とかないの?」

 そんなこといわれましても……。

 5時半過ぎ、

 「じゃあ、餃子頼んでくる」

 と出かけようとした。

 「今日じゃなくてもいいのに」

 いや、瑛汰が食べたがっているんだろ? 1日でも早いほうがいいじゃないか。店は午後6時にしか開かないし、昨日は飲み会だったから行く暇がなかった。今日行くのは当たり前だと思うけど……。

 「ギター教室の日だっていいじゃない」

 それでもいいが、今日ではいけないということにはならない。行って、送り先の住所を書いて金を払ってくるだけだから、それほど時間もかからない。

 「でも、送るだけで、私はその店に行ったことがないのよね」

 私も、連れて行った憶えはない。同行したのは、ここ桐生でできた飲み友だちと、仕事で遅くなった時の同僚、同業他社の若い衆だけである。
 あわせて、餃子だけが突出して美味であるだけで、ほかの食べ物はどこにでもある町の中華屋さんの料理でしかない。1日を締めくくる夕食をこの店でとる気は、私にはない。

 黙ってしまった妻殿を置いて車で出かけた。ハンドルを握りながら。

 「だけど、これって不公平ではないか?」

 と思いついた。瑛汰に送るのはいい。だが、もう一人、四日市には啓樹がいる。

 「啓樹、お前、餃子食べる? ボスのところに遊びに来たときに食べた餃子、食べたいか?」

 啓樹に電話をした。

 「あっ、そう。食べたいの。分かった。じゃあ送るからね。今日は学校で何を勉強した?」

 啓樹は8日、地元の小学校に入学した。ぴっかぴかの一年生である。

 「あのしゃ」

 と啓樹が話し始めた。

 「先生がね、『し』で始まる言葉を言いましょう、っていったの」

 ふーん、それで啓樹が答えたの?

 「そうじゃなくて、ちっちゃい子が答えたの。○○君っていうんだけど、△△、っていったの」

 それ、「し」で始まらないじゃない。全然違うね。それで、啓樹も、はい、はい、って手を挙げて答えたのか?

 「あのしゃ、はい、はい、っていわないの。黙って手を挙げるの」

 そうなんだ。ボスが小さいときとは違うんだ。それで、啓樹も答えたの?

 「答えたの」

 ふーん、何て答えたの?

 「えーっと、忘れた

 学校で勉強したことをわすれちゃ困るじゃないか。

 「あ、思い出した。しまうま、っていったの」

 おお、啓樹、正解だね。ピンポーンだ。偉いね。明日も学校に行くのが楽しみだね。

 かくして、横浜と四日市に、それぞれ餃子20人前を送った。締めて14100円。財布が軽くなった。


 ま、私の財布が軽くなるのはさしたる事ではない。さしたることは、余震が収まらないことである。原発が依然として止まらず、放射性物質を出し続けていることである。


 週刊誌が2分している。原発事故の危機を煽る一派と、科学的に考えればまだたいしたことはないと、冷静な対応を呼びかける一派である。
 週刊現代、週刊文春が前者、週刊ポスト、週刊新潮が後者であると思う。週刊朝日は、その中間か。

 今週のポストも冷静である。冷却水がなくなった原子炉で、核燃料の再臨界、つまり、一度止まった核分裂連鎖反応、が起きると、馬鹿なメディアは騒ぎまくるが、そんなことは起きるはずはないと断言する。

 何でも、専門家によると、炉心で臨界を起こすには、

 1)燃料棒が1.5cmの等間隔に配置されていること
 2)水で充たされていること
 3)制御棒が抜かれていること


 の3つの条件がそろわねばならないという。そのうち、1つでもかけたら臨界は起きない。

 中でも、水は核分裂で出る中性子の速度を落とす役割を持っているのだそうだ。核が分裂すると中性子が飛び出し、それが別の核燃料にぶつかって次の核分裂を起こす。それが続くのが臨界なのだが、中性子は減速してやらないと次の核分裂を引き起こしにくいのだそうだ。
 だから、炉心から水がなくなると減速剤がなくなり、再臨界は起きない。
 と、至って明瞭に書いてある。

 まあ、私は核分裂や原子力発電についてはほとんど知識を持ち合わせていない。心配をしながら様々な物を読み、論理的整合性があるかどうかで書かれていることを判断するしかない。
 その目で見ると、この記事、納得できる気がする

 何しろ、チャイナシンドロームとは、起きもしないことを大げさに騒ぐことを揶揄するジョーク表現だ、という一文もある。
 何となくだが、それほど騒がなくてもいいのか、と思ってしまう。

 てなことを考えながら、今日も酒に酔って寝るしか能がない私である。

 

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