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 2011年2月13日 泣き虫

 午後4時前、横浜から桐生に戻った。2泊3日の旅が終わって、再び日常が始まった。

 出発した11日、懸念した雪は降ったものの交通に影響を与えるほどではなく、2時間ほどで横浜に着いた。着くとすぐに、買い物である。何しろ、

 「ラゾーナで、ボスにいっぱい本を買ってもらう」

 と心に決めた瑛汰が待ち受けているのである。一服するゆとりなど、求めても与えられるものではない。瑛汰と次女、それに璃子を伴って直ちにラゾーナに向かった。

 二手に分かれた。次女と璃子は別の買い物である。私と瑛汰は駐車場から書店に直行した。

 書棚に向かった瑛汰は、絵本には目もくれない。

 「難しい本がいい」

 と、ほとんど挿絵がない本ばかりを書棚から引き出す。

 「瑛汰、それ、自分で読めるか?」

 「いいの、ボスに読んでもらうから」


 あ、そう。ま、この年頃で本に多大な関心を持つのは、先行き楽しみである。
 瑛汰お買い上げの7冊が決まった。

 「これとこれ、瑛汰が持つけど、あとはボスが持ってよ。重たいから、瑛汰、一人じゃ持てないでしょ」

 はい、はい。
 ついでに、たこ焼きを買って帰宅。

 午後はLEGO昨年末、瑛汰一家が我が家にやってきたときに買ったヤツである。桐生で組み立て終えたのだが、横浜に帰る際、再びバラバラにした。そうしなければ持って行けなかったからだ。

 「大丈夫ですよ。横浜で組み立て直しますから」

 と瑛汰のパパはいったが、全く手を付けられた様子がない。見事にバラバラのままである。

 「ボス、作ろ」

 と瑛汰に言われれば、私に選択肢はない。
 が、一度バラバラになったLEGOとはやっかいなものである。もちろん、組み立て説明書に従って作業を進めるのだが、最初は袋に小分けされていたパーツが、いまや全体で1つの塊になっている。必要なたった1つのパーツを、恐らく数千はあるであろう全体から見つけるのは至難の業なのである。とにかく、見つからない。

 無論、半日で仕上がるわけもなく、中途半端な仕上がりで入浴、夕食。
 私と入った風呂で、璃子、大泣きに泣く。私の顔を見るのも汚らわしいと言わんばかりに泣く。人見知りを始めたらしい。そんな時期である。身体を洗ってやるゆとりなどなく、とにかく風邪をひかせぬよう、泣き叫ぶ璃子を湯船に漬けて温め、出す。

 「瑛汰、誰と寝ようかなあ」

 ベッドタイムが近づくと、瑛汰は必ず言う。羨ましい男である。
 瑛汰、ボスも、死ぬまでに一度でいいから同じことをいってみたい。今日は誰と寝ようかな、って。
 もちろん、言葉の意味は、瑛汰が使っているとは違うが。

 お眼鏡にかない、ボスが瑛汰の夢路のお供をすることに。
 とっかえひっかえ本を5冊ほど読み、瑛汰が寝付いたのは9時頃か。

 12日は、朝から全員で横浜みなとみらい。専属運転手兼瑛汰のお付きが私の役割である。
 妻と次女、及び璃子が買い物をしている間、瑛汰と私はLEGOショップ。ポリスステーションのニューバージョンがあり、

 「瑛汰、これが欲しいんだよなあ」

 といいながら、瑛汰が勝手に引きだし始めた。
 これは、教育的見地に加え、財政的見地からも止めねばならぬ。

 「瑛汰、家にあるヤツもまだ出来てないよな。新しいのを買うのは、それを造ってからでしょう」

 だって欲しいんだもの、と泣き出す瑛汰をなだめ、叱り、ついにはキーホルダー2個で手を打った。
 キーホルダーを買ったあとも瑛汰は店内をうろつく。ふと気がつくと、ポリスステーションだけでなく、瑛汰の目を輝かせるのはすべて建物である。
 瑛汰の父方のおじいちゃんは不動産屋さん。瑛汰はその血を引いたのか? それとも建築方面に秘めたる才能があるのか?

 昼食を済ませて帰宅。
 LEGOの続き。途中までできが立った部分を持ち上げて運ぼうとした際、取り落とす。パーツが飛び散り、再びバラバラとなる。私も瑛汰も作業を続行する気力を失う。

 この日は瑛汰のパパが当直あけで休み。夕食は川崎の「松の樹」。中華料理が好きでない私も、ここの料理にはいつも合格点を出してしまう。
 戻って入浴。この日も、璃子は大泣き。
 璃子、ボスはお前と裸同士で付き合っても、変な下心は全く浮かんでこない。そろそろ警戒心を解いたらどうだ?

 この日も、瑛汰と同衾。

 「瑛汰さ、明日のこと考えると泣きたくなっちゃう」

 腕の中で瑛汰が言う。明日のこと、とは私が桐生に戻るということである。そして、しゃくり上げ始めた。

 「そうか。だったら、ボスと一緒に桐生に行くか?」

 「幼稚園があるし」

 「休めばいいだろう」

 「うーん、ママとも寝たいし」

 「そうか、じゃあ、どうするかは明日考えよう。さあ、寝ろ」

 瑛汰、ボスは若くて綺麗な女の人とこんな会話をしてみたいんだけど。


 そして、今日も朝から川崎に買い物に出た。

 「今日も、本を買うんだ!」

 瑛汰が私を見ながらいう。

 「瑛汰、本は7冊も買ったばかりじゃないか」

 「いいんだよ、瑛汰はね、難しい本をいーっぱい欲しいんだから」


 次女によると、瑛汰は形から入るタイプの人間であるそうだ。いまこだわっているのは、自分の本を沢山持つこと。恐らく、ボスの蔵書と同じように、難しげな本をずらりと書棚に並べればご満悦なのであろう。
 瑛汰、本は読んでナンボ、だぞ。

 が、本を欲しがるのは決して悪いことではない。出版不況が喧伝されているいまの世に、このような人材は貴重である。

 「よし、じゃあママが買い物している間に本屋さんに行くか」

 川崎・さいか屋で次女が買い物をしている間、ヨドバシカメラが入っているビルの9階に行った。私の記憶ではここに書店が陣取っていた。

 ところが、エレベーターを降りると書店がない。すぐに目についたのはボーネルンドである。

 「あの、このフロアに書店があったと思うのだけど」

 店員に聞いてみた。

 「あ、確かにありましたが、撤退されて、そのあとにうちが入った次第でして」

 そうですか。
 この店で、瑛汰に砂遊び用のバケツ、ショベル、スコップ。それに、璃子のおもちゃ。木製のガラガラのようなものだが、ひょっとしたら璃子に買う初めてのおもちゃか?

 下に降りて島村楽器。譜面台980円を購入。あわせて、クラプトンの楽譜3冊。楽譜は絶版になるのが早く、目に着いたときに買っておかないと手に入りにくくなる。

 地下に降りて書店。瑛汰に本1冊、ノート2冊。

 「瑛汰、このノートで足し算するんだ」

 午後2時前、横浜を出た。車に荷物を積み込んでいると、案の定、泣きべそをかいた瑛汰が2階から降りてきた。

 「ボスが、帰ったら、寂しい。ウッ、ウッ、ウッ、エーン」

 「瑛汰、もうすぐママのお友達が来るんだよな? 瑛汰のお友達も来るんだろ? だったら、寂しくないじゃん」

 泣きじゃくる瑛汰を抱きしめながらいった。次女の友人が子供を連れて、2時過ぎに遊びに来る予定であった。

 「ボス、それまでいてよ。ボスを紹介したいから。ウッ、ウッ、ウッ、エーン」

 「瑛汰、また来るからな」


 4歳児に紹介される私は何者か。

 
 桐生について午後4時前、瑛汰に電話をした。

 「瑛汰、元気か?」

 「元気だよ」

 鳴き声ではない。

 「お友達、来たか?」

 「来たよ。いまね、DVD見てんの」

 ボスのことなど忘れた風情であった。

 「じゃあね、バイバイ」

 一件落着、のはずだった。

 7時過ぎ、食事をしていたら電話があった。

 「ボス? ボス、瑛汰、ボスと寝たい。ウッ、ウッ、ウッ、エーン」

 
 「瑛汰はボスのことが大好きなんだね。いつまで泣いてくれるかしら?」

 そばで聞いていた妻女殿がおっしゃった。
 それは分からぬ。瑛汰は体も心も急速に成長する時期にある。明日泣かなくなっても何の不思議もない。

 でも、あの娘から同じことをいわれたら、俺、どうするかな?
 とは、口が裂けても言えない私であった。


 そんな由なしごとを考えながら新聞をながめていたら、菅内閣の支持率が20%を切ったとのニュースが目に止まった。共同通信の世論調査だという。
 いろいろなことが書いてあった。が、私の感想は書いてあることとまるで違った。

 理念も目標もなく、ただただ延命しか考えていない内閣を、まだ、2割近い人たちが指示してるの? 世の中には、訳が分からん人ってそんなに沢山いるのか!
 支持率ゼロになっても、私は驚かないんだがなあ。

 

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