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 2010年7月22日 バカタレが!

 テレビを見ながら、汚い言葉を思わず口にしてしまった。貴族性をもって世に対峙しようという私にあるまじき行為である。しかも、夕食時だ。

 NHKの7時のニュースを見ていた。いつものことである。 目立てばいいといわんばかりの民放の番組は、貴族の暮らしにふさわしくない。貴族の暮らしには落ち着きが必要である。この時間、NHKを除けば、見るに値する番組はない。

 もっとも、最近のNHKは民放に毒されている感じもする。女性アナウンサーが、目に見えて美しくなった。数年前なら、民放でタレントまがいのアホ芸を演じていてもいいクラスの美女がNHKに増えた。
 ま、これは、見方によっては喜ばしいことである。

 が、許し難いのは、CMが増えたことである。いや、民放のように企業のCMを流すのではない。己の局の番組を宣伝するのである。やれ、今日の龍馬伝はどうだとか、10時からはこんな番組をやるぞ、とか、番組の宣伝が目立つ。
 そんなに視聴率が欲しいか?

 ニュースの性格が変わった。
 ニュースである以上、事実の伝達の最大の努力を払うべきである。ところが、最近のNHkニュースから事実が減った。つまらないドキュメントが増えたのは、まあ、許してもいい。唖然とするのは、芸能関連、スポーツ関連のニュースが増えたことだ。酒井法子の覚醒剤は、一時NHKニュースを占領した。ニュースになると酒井法子が出てきた。
 おいおい、チンピラタレントが覚醒剤を使ったセックスに狂っていたのがそんなに問題か? 酒井法子が覚醒剤を使って誰かに迷惑をかけたか? 
 苦々しく見ていたのは私だけなのだろうか?

 総じていえば、NHKはいま、民営化に備えているように見える。予算や決算を国会に報告しなければらない特殊法人のままでいるより、広告料で成り立っている民放になった方がいいや。
 
 それでいいのか? NHK!

 という問題は、本日とは関係ない。
 そのNHKの7時のニュースに、異様な面相のおじさんが登場した。国家公安委員長の中井洽さんである。そう、ぶっとい眉毛にドングリ眼(まなこ)。銀座のホステスと艶聞を流し、

 「独身だから問題ない」

 と言い放ったおじさまだ。ま、うらやましいお方ではある。

 そのおじさんが国家公安委員長としてテレビカメラの前に立ち、北朝鮮拉致被害者の話をしていた。その一節に、こんな言葉遣いがあった。

 「○○さんがお元気でいたことは」

 私が、貴族のたしなみを忘れ、汚い言葉を思わず吐き出したのはその瞬間だった。
 お元気でいた?
 あんた、自覚があるのかどうか不確かだけど、日本の大臣だよね。時と場合によっては日本を代表して外国の重鎮と会ったり、そう、国家公安委員長だから国民の権利を制約したり、そういう立場にいるんだよね。
 だったら、日本語をもう一度勉強したら

 「お元気」、ときたら、続くのは「いらっしゃった」、でしょう。「いた」、と続けたいのなら、前半は「元気」でしょう。
 日本語では、前半分は敬語で、後ろ半分は敬語でない、という言葉の組み立てを排除してるんだ。 それがルールなんだよ。

 久しぶりに会う人に、

 「おう、久しぶり。ところで、お母さん、お元気でいる?」

 とはいわんだろう?
 ざっくばらんな仲なら、

 「お母さん、元気か?」

 ですむ。
 そこまで近しくないなら、

 「お母さん、お元気にしてらっしゃる?」

 もしくは、

 「お母さん、お元気ですか?」

 が普通ではないか?

 敬語の使い方の繊細さは、日本語が世界に誇っていい文化資産である。
 国家の閣僚ともあろうお人が、敬語も満足に使えない。

 情けないぞ、中井!


 もう一つは、怖いお話。
 何でも、総務省が全国の自治体に対し、クラウドコンピューティングの導入を進めていくらしい。読売新聞の夕刊が1面で報じた。
 これって、怖くない?

 だってこれまでは、住民の基本データは各自治体がインターネットから切り離したサーバーに蓄積し、外部から進入できない専用回線で役所の端末とつないでいた。まあ、アホな役人がほかのメディアで持ち出さない限り、住民データの安全性はとりあえず確保されていた。
 だけど、クラウドコンピューティングって、そのデータを民間会社が保有するサーバーに置き、役所の端末はインターネット回線を使ってそのデータにアクセスする。
 これって、怖くない?

 インターネット回線って、それほど安全ではない。コンピュータに詳しいヤツだったら、インターネット回線を行き来するデータを盗み出すことはそれほど難しくないらしい。私の、あなたの個人データが、どこの誰か分からないヤツに自由にいじり回される。
 これって、怖くない?

 そもそも、国民の個人データの管理を、民間会社に委託するってどうよ。どっかの会社が、全国民の個人でデータをすべて管理する。おまけに、その会社は日本国内の会社とは限らない。ひょっとしたらアメリカの会社が管理するサーバーかも知れないし、管理する会社はアメリカでも、サーバーは中国に置かれるかも知れない。国同士の関係が悪くなれば、その国がサーバーを勝手にいじって我々日本国民の個人データを利用することだってあり得ないことではない。
 総務省は、ハッキングを防ぐ暗号化技術を検討するらしいが、国民の基本情報を外部に預けることへの懸念は全くないようだ。
 その先に何があるかは「ネット帝国主義と日本の敗北—搾取されるカネと文化」(幻冬舎新書) に詳しい。
 これって、怖くない?

 まったく、官僚というのは何を言い出すことやら。それを止めない民主党政権も同罪か。
 報じた読売新聞の記事も、危機感が薄い。
 おいおい、ちっとは勉強してから政策を立案しろよな。ちっとは勉強してから記事を書けよな。

 こんな有様で、この国、どうなるんだろう……。

 

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