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 2010年1月4日 仕事始め

 今日は2010年の仕事始めである。都会にお住まいの方は満員電車に揺られて久々に会社に向かわれたことであろう。ご苦労様である。
 桐生暮らしの私には満員電車は縁がない。いつものように車で出かけたのだが、心なしか車の数が少なく、快適な仕事始めであった。
 しかも、1人勤務の気楽さが加わる。今日はどこに行っても年明けの行事でみな浮き足立っているはずだ。こんな日に仕事になるはずがない。朝方、ほんのちょっぴり挨拶回りをし、11時過ぎには自宅件事務所のここに戻ってきた。もう出かけない。
 まあ、今日までは正月休みの延長、である。こんな不良社員がほかにいるのかどうかは知らないが。

 ところで。
 昨年末、私はNHKのドラマ「坂の上の雲」で盛り上がった。抜群にできの良いドラマである。制作、放映したNHKに敬意を表したい。おそらく、原作の良さをどう映像化するかに関係者は心を砕かれたと思う。それが見事に結実した。

 うろ覚えで恐縮だが、原作の作者司馬遼太郎氏は、

 日本人が一番美しかったのは明治時代である。坂の上の雲では美しい日本人を描いた。

 という趣旨のことを書かれていたと思う。その一番美しい日本人が、このドラマには確かに生きている。

 秋山真之、好古の兄弟、正岡子規、その妹、律。明治維新を終えたばかりで日本は貧しく、粗末な着物に身を包んだ彼らは、だが、高級ブランドに身を包んだいまの日本人より、遙かに光り輝いている。
 誇りを忘れずに自らを律し、友のために身を砕き、家を思い、故郷を愛する。その先に清、ロシアという大国に圧迫される日本があり、彼らはまっすぐにその中に飛び込んでいく。己の天命は何か、己に何が求められているのか。
 見過ぎ世過ぎに追われるいまの私にはまぶしいばかりの明治の群像である。

 律を演じた菅野美穂の演技にも目を見張った。
 史実かどうか不明だが、律は兄子規の親友である真之に思いを寄せている。が、熱い思いはあくまで自分の胸だけにとどめ、外に出すことはない。
 ただ、沸騰する思いは、思いもしなかったときにふと姿を現す。真之に向ける目であったり、ふいに飛び出した言葉であったり、沈黙であったり、仕草であったり。

 「好き」

 という言葉を使わず、たぎる思いを表現する。菅野美穂は見事に律を演じてくれた。これほどの演技力がある女優だとは、このドラマを見るまで気がつかなかった。

 年末27日の第5回で第1部が終わり、第2部は今年の年末、第3部は来年の年末に放送される。1年後が楽しみである。
 当然、ブルーレイに録画した。2年後には全13回分のブルーレイディスクが揃う。全編通して見直す日が待ち遠しい。

 ひとつだけ。
 何回目だったか忘れたが、夏目漱石が正岡子規に向かって、自分の書いた小説(当時は「文」といった)を「ホトトギス」に載せてくれ、と頼むシーンがあった。私の記憶によると、あれは英国から戻った漱石の精神状態を心配した高浜虚子が執筆を依頼したのではなかったか?
 私の記憶違いか? それとも、ドラマを見誤ったのか?

 年が明けて、NHKでは「龍馬伝」が始まった。国難の時期には明治維新ものがよく似合う。

 が、1回目を見た限りでは、「坂の上の雲」ほどの緊迫感はない。泣き虫で弱虫、勉学にも劣った龍馬が、青年期を迎えると、突然剣の名手になり、みなから頼られる存在になる。はしょりすぎではないか? 
 上士と下士の身分制度、差別感情もあれほどひどかったのだろうか? 武士が町人を斬っても「切捨御免」で無罪放免される、というのも言葉だけが一人歩きして史実の誤解を招いた。実は切り捨てたら、無礼な仕打ちをされたことを立証する必要があり、それができなければ処分を受けた。それに比べて、土佐藩での上士の下士にたいするいじめは極端である。どうもねつ造くさいのだが……。
 それに、子役の演技のまずさが相変わらず目立つ。まあ、1回目ですでに龍馬は青年期に入ったので、もう子役が登場することはないと思うが……。

 視聴率の取れるキャスティングだけに力を入れ、ほかは手抜きしちゃったのかな? 「坂の上の雲」ほどの手間暇をかけろとはいわないが……。

 まあ、こちらも1年間見させていただきますが。

 

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