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 2008年6月19日 売り込み

 頼まれたことを忘れていた。今日は、それを実行する。
 頭脳警察のニューシングルCDPRである。

 9日に行った発売記念パーティで、舞台のPANTAが言った。

 「この新しい曲をチャートに送り込みたい」

 頭脳警察ヒットチャート。何ともちぐはぐな取り合わせである。反体制過激派のブランドを持ち、これ以上濃くはならないだろうというほどのコアなファンに支えられる頭脳警察なのだ。それが、商品経済の象徴とも言えるヒットチャートを意識する?

 「是非、お一人様3枚のお買い上げを。1枚は聞くため、1枚は保存のため、最後の1枚はディスプレー用に」

 「10枚買って、親戚・知人にプレゼントしていただいても」


 次々に舞台に上った関係者は、PANTAに輪をかける商業主義を前面に押し出した。
 そしてPANTAが重ねた。

 「だから、『焼き』はだめだからね」

 コピーはダメよ、ってか。コピー枚数はヒットチャートに 関係ないもんな。
 でも、頭脳警察のニューアルバムがヒットチャートの上位に食い込む? ジョークだよな! と思いたい。でも、にしては、みんな真剣だったような……。
 
 「2008年6月10日 頭脳警察」にも書いたが、PANTAがチャート入りを狙う曲は

 「時代はサーカスの象にのって」

 である。寺山修司の詩に、PANTAが曲をつけた。かつての頭脳警察のサウンドとは違い、ドライブ感よりも重厚感のあるロックンロールだ。出だしの、頭の芯に巻き付くようなリードギターを聴きながら、私はビートルズの「フリー・アズ・ア・バード」で聞いたジョージ・ハリソンのギターを思い出した。
 
     時代はサーカスの象にのって

   どこからでも やり直しは出来るだろう
   お前は お前自身がつくりだした
   一片の物語の 主人公だから
   でも せめて きかせてくれよ
   悪夢ではない ジンタのひびきを

   時代はゆっくりと やってくる
   おく病ものの象に またがって
   せめて その象に
   サーカスの芸当を 教えてやろう

   せめて その象に
   サーカスの芸当を 教えてやろう

   戦争と戦争の間に
   俺たちはいる
   それを 忘れることはない
   でも せめて きかせてくれよ
   悪夢ではない ジンタのひびきを

   時代はゆっくりと やってくる
   おく病ものの象に またがって
   せめて その象に
   サーカスの芸当を 教えてやろう

   せめて その象に
   サーカスの芸当を 教えてやろう

   せめて その象に
   サーカスの芸当を 教えてやろう

   せめて その象に
   サーカスの芸当を 教えてやろう

 こんな詩を目にすると、文章を書くのが嫌になる。どうして俺って、こんな深い文章が書けないのだろう? 薄っぺらな言葉の使い方しかできないのだろう?

 時代は象に乗ってやってくる。それも、単なる象ではない。臆病者の象である。足を1歩出すたびに、足を降ろす地点を慎重に吟味する。トゲはないか? 石ころに足を取られることはないか? 地面が崩落することはないか? 足の下に入る生き物はいないか? この象、本当に歩いているのかとイライラさせられる。
 だが、それでも、象は前進しているのだ。確実に歩を運んでいるのだ。そして、いつかはここにやってくる。象さん、せっかく時代を背負ってやってくるんなら、俺たちが芸当をいくつも教えてやろう。君が芸当を見せてくれたら、やっといい時代が来たって、みんなが喜ぶぜ。

 「せめて その象に サーカスの芸当を 教えてやろう」。おそらく、社会革命と、それへの主体的な関わりを含意した詩である。それを、たったこれだけの、やさしい、誰でも知っている言葉の連なりで表現されてしまったら、文章を書く者としてどう対抗したらいいのだろう?

 とりあえず、あなたもこの曲、聞いてみませんか? と書くしかないではないか。

 アマゾンにもある。
 ビクター ミュージック ダウンロードでは、ダウンロード販売もしている。
 街のレコードやさんでも扱っているようだ。

 なお、私は2枚入手して、1枚は妻の知人にあげた。お読みいただいている方々の分は用意していないので、自力で取り組んでいただきたい。

 

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