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 2008年4月11日 嬉し恥ずかし

 「俺は5時から体があくけど、君は無理だよなあ」

 昨日私を酒に誘った先輩は、そう言い残して会社を出た。我が社の定時は午後6時である。確かに5時に出るのは難しい。そんなこと、この会社に長年板先輩なら先刻ご承知のはずである。だから、6時になったら彼の働くビルに出向くつもりだった。
 午後5時半、机の上の電話が鳴った。出ると、先輩だった。

 「まだ無理かな」
 
 自己都合を押しつける強引さ。現役時代とちっとも代わらない。人間、それほどたやすく成長するものではないらしい。

 ここまでいわれては仕方がない。ということなので、と同僚に告げ会社を出ることにした。まあ、正確にいえば早退であるが、うちの会社は、そんなことはあまり気にしない。

 「あの人、ストレスがたまっているみたいだから、慰めてやってよ」

 そんな同僚の声を背に会社を出た。

 落ち合って、小雨降る中をまず向かったのは、銀座にある「炉端と海鮮しゃぶしゃぶ能登輪島」という店だった。先輩のお気に入りらしい。客は我々だけである。時間を考えれば当然かも知れないが。

 「いや、この店美味しくてさ。是非安堂君にご馳走したくて」

 そういわれれば、嘘だと分かっていても悪い気分はしない。干物、焼き魚、皮付きの空豆、海鮮しゃぶしゃぶ。確かに美味しかった。塩加減、焼き加減、しゃぶしゃぶのスープ、それに加える岩のり。すべてに立派な仕事がしてあった。能登の味を堪能した。
 でも、高かったんじゃないかなあ……。痛んだのが私の財布ではなかったことをもってよしとしておこう。

 もちろん、この店で終わるはずのない夜である。店を出た2人は降り止まぬ小雨の中、昨日の日誌に書いたが如く、スナック「三池」に向かった。

 「三池」は小さなビルの地下2階にあった。狭い階段を下りながら心配になった。
 
 「こんな地底深くに降りて、火災でもあったらどうするんだ? 逃げ道はこの階段だけだぞ!」

 スナックで酒を飲むのも命がけである。

 カウンターだけのスナックだった。いや、片隅に壁にくっついたΓ型のソファーと、そのソファー用のテーブルがあった。が、テーブルがソファーに押しつけられており、座れそうにない。カウンターだけで収容できる程度の客しか来ないのだろう。
 ウイスキーの水割りである。先輩は隣の客と話し始めた。常連客らしい。先輩とも知り合いのようだ。
 やがてカラオケという話になった。やばい展開だ。常連客は、何も見ずにコードナンバーを打ち込んだ。自分が歌う歌のコードを記憶しているらしい。ただ者ではない。というか、変わり者である。
 先輩がガイドブックをめくり、自分の曲選びを始めた。ますますやばい。客は私を含めて3人しかいないのだ。次は私の番、になるのは、1+2が2であるのと同じく、自明のこととなってしまった……。

 恐らく、盛り上がったのだろう。時計を見たら10時半である。この店に入ったのは8時頃だから、もう2時間半にもなる。
 先輩の脇腹をつついた。

 「そろそろ、引き上げましょうよ」

 先輩がこちらを向いた。いかん、目が据わっている。彼の現役時代、こんな目を何度見たことか。

 「何いってんの。これからだよ。いいかい安堂君。そこが君のダメなところだよ。人間というのはやるときにはやる。中途半端はいけないんだ」

 歯止めがきかなくなっている。何しろ彼は、日比谷高校から東大に進んだ大秀才なのである。いや、だったというべきか。あ、日比谷―東大組の全員が彼のようだという裏付けは持ってないが。

 11時半。常連客が店を出た。この機に乗じるしかない。半ば強制的に先輩を店から連れ出した。まだ雨はやんでいない。言語が不明瞭になった足下の覚束ないオヤジをタクシーに放り込む。

 「今日はごちそうさまでした」

 やっと一件落着である。自宅に戻ったら午前様だった。
 これはどう考えても、嬉し恥ずかし朝帰り、ではないなあ。


 これが今日の朝日新聞社説である。

 【一般財源化―首相は法案修正で確約を】
 見方によっては民主党寄りとも言えるが、正論である。自民党内の道路族の豪腕ぶりを見越して、特例法の手直しを求めているのもっともなことだ。
 この日の朝日新聞夕刊では、自民・公明両党が臨時役員会などを開いて道路特定財源を09年度から一般財源化する政府・与党案を了承したとある。だが、社説子が提案している特例法の手直しまでは視野に入っていない。
 さて、民主党がどう反応するか。
 『首相は、財政運営の基本方針を定める夏の「骨太方針08」に一般財源化を書き込むと言っている。これも約束の担保になるか疑わしい。その方針づくりや法改正で道路族が骨抜きに動くのは目に見えているからだ』
 というあたりから推測すると、社説子はきっちりした担保を取るまでは民主党はいまの路線で進め、といっているようにも思えるが。

 少し脇道に入る。
 昨日
 ねじれ国会というのは、なかなか面白い。
 と書いた。だが、面白いだけではないと思うに至った。これは国の財政、特に金の使い方を根底から見直す千載一遇の好機ではないか。
 暫定税率の期限が切れたことは、単にガソリン代が下がってよかったよかった、という話にはとどまらない。何せ、国債を発行しなければ予算が組めない財政構造の中で、2兆6000億円もの税収が消えたのだ。ただでさえ苦しい国のお金のやりくりが、一掃厳しくなる。
 だが、財政のピンチは、財政を根底的に見直すチャンスでもある。
 あれほど財政危機が叫ばれてきたにもかかわらず、これまでの報道が明らかにしてきたのは道路特定財源の、驚くばかりの無駄遣いだった。だとすれば、霞ヶ関のほかの支出にも、おかしな、納税者としては許せない類がたくさんあるはずである、と疑うのが常識だ。
 どうだろう。せっかく税収不足になるのだから、徹底してお金の使われ方をチェックしてみたら? ほんのわずかな時間で、あれだけ道路特定財源の問題点が浮き彫りになったのだ。野党、マスメディアは力を合わせて取り組んでみたらどうか。ザックザックと出てきて、2兆6000億円ぐらい浮くのではないか?
 政権を是非民主党に取らせたい。党是として暫定税率の延長を潰し、税収が減る方向を選んだ。彼らが政権を取ったら、少なくなった税収をベースに行政運営する。さて、彼らはどんな支出にメスを入れるのか。長年続いてきた自民党政権の無駄が、次々と日の元にさらされるはずだ。

 【少年調書引用―講談社の脇の甘さの罪】
 これにも異論はない。
 感想をいくつか。
 講談社はどんな処分をするのだろう?
 出版に1人だけ反対したのが週刊現代の編集長だった。帰りに週間gねんだいを買っていこうかな。
 この著者はもう、ライターとしては生きていけないんだろうなあ。


 昨日から朝日新聞の社説が快調だ。この調子が続くのなら、日誌で取り上げることもないだろう。もうしばらく様子を見て決断する。
 まあ、調子がいいといっても、常識の枠内あるという程度のことである。社説を読んで蒙を啓かれたり、強烈な論理にねじ伏せられたりする、知的に興奮する体験は、残念ながらない。
 そこまで求めるのは、無い物ねだりか?

 

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