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 2007年11月22日 壁

 昨日、実に久しぶりに「シネマらかす」を更新した。80本目になる「チャイナ・シンドローム ―巨大 システムの暴走」である。前作をアップしたのが8月25日だから、何と3ヶ月ぶりだ。
 デジキャス時代は、毎週金曜日に更新した。つまり週1回、月に4、5回の更新である。3ヶ月だと12、3本。よく書いた、書けたものだ。昔日の感がある。

 さぼり癖が身に付いた。そうかも知れない。だが、さぼるにはさぼるだけの理由がある。
 物理的には、パソコンの前に座る週末が減ったことが響いている。近くに住む次女の旦那は、週年中無休の歯科医院の勤務医である。旦那のいない週末が多い。

 「行っていい?」
 
 と娘が電話をよこす。

 「来ない?」

 と妻が電話する。
 いずれにしても、私が車を出し、腕白の度を加えてきた瑛汰と次女を我が家までお連れする。
 瑛汰は、ボス、つまり私が大好きらしい。私と公園まで散歩するのが好きだ。私にだっこされるのが好きだ。抱いて歩いていると、眠り込む。私の胸と歩行時の振動は、瑛汰にとって睡眠薬である。
 かくして、私は瑛汰の使用人と化す。パソコンの前には座る時間などあるはずがない。

 そうせざるを得ない事情もある。
 瑛汰は、夜あまり寝ない。勢い、娘は睡眠不足に陥る。瑛汰は娘に抱かれるのが好きだ。抱きすぎて、娘は腰痛を訴える。
 娘は我が家に静養に来るのである。瑛汰をできるだけ娘から引き離し、体を休める時間と眠る時間を与えなければならない。
 かくしてボスは、多忙な週末を送る。困ったことに、多忙な週末は楽しい週末でもある。

 それに、9月から役職が変わり、席も変わった。8月までは、勤務中でもパソコンで映画を見ることができた。映画を見ながらメモを取ることもできた。もちろん、原稿を書くことなんか、ほぼ自由にできた。
 いまは無理である。しなければならないことが多少増えたこともある。だが、することがない時間でも、いまの席には周囲の目がたくさんある。パソコンで映画を見るなどもってのほかだ。メモも取れない。まあ、原稿ぐらいは書けるから、いま書いているのだが……。

 以上は物理的な問題である。
 物理的問題だけなら、解決法はある。平日、酒を控えてパソコンに向かえば、時間の不足はかなり補える。

 真の原因は、、ではないか、と思う。まあ、スランプである。
 映画を見る。これはいい、シネマらかすで書こう、と思う。ここまでは従来と同じだ。壁はこの先に現れる。
 どう書く? というアイデアがなかなか浮かばない。週1本のペースで書いていたころは、早朝犬の散歩をしながら、湯船につかりながら、時にはトイレで気張りながら、ふっとアイデアがわいた。この映画を、この視点から書けば面白くなる。これにはあの話をくっつけて、あのあたりで突っ込みを入れて……。あとは、書けば良かった。
 そのアイデアが、なかなか浮かんでこない。映画は見た。見直しながらメモも取った。そこまでの作業は終わったが、さて、どう書こう? ここで作業が止まる。
 発想が飛躍しない。考えても考えても堂々巡りを繰り返す。そこからポンと飛び出す新鮮なアイデアががない。年齢相応に発想の自由度が減り、発想力が枯渇したか? あるいは、発想を支える基礎教養が底をついたか?

 それに、筆力も落ちた。デジキャス時代は、一気呵成に書き上げた原稿もかなりあった。だが最近、私の筆は引っかかりもっかかりである。10行書いて考え込み、30行書いて消す。読み返して、我ながら下手な原稿だと嘆息する。昔の原稿にはあった、と私が勝手に思い込んでいるおかしみが希薄だ。これも壁である。

 映画を取り上げ始めたころも執筆には苦労した。どうすれば、この映画の面白さ、素晴らしさを伝えることができるだろう? 試行錯誤の連続だった。
 慣れていないからだろう。10本ぐらい書けば映画の書き方にも慣れ、 もっと楽に書けるようになるはずだ。そう自分を慰めながら10本目を書き終えた。だが、11本目にもやっぱり苦労した。そうか、すべての映画に通じる書き方などない、映画は1本ずつ違う書き方をしなければならないのだ、と思い知らされ、毎回違う苦労をしながら書き継いできた。

 が、いまぶつかっているものは、性格が違うように感じる。

 できれば、単なる一時的なスランプであって欲しい。
 望むらくは、成長への一過程であって欲しい。

 さて、私の願望は実現するか。当面は書き続けるしかない。

 

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