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 2007年3月13日 犯人は?

 日興コーディアルグループの株式が東京証券取引所の上場廃止を免れた。 
 今朝の新聞を見て、

 「あれっ?」

 と思われた方も多かったに違いない。何を隠そう、私もその1人である。

 「あれっ? 上場廃止って、決まってたんじゃなかったの?」

 もとより私には、日興コーディアルグループの利益水増しという行動が、上場廃止に該当する罪かどうかを判断する識見、能力はない。識見、能力がないのに、

 「東証はおかしいじゃないの、だって……」

 という素人の床屋談義をする気もない。今朝出勤途上であった同僚がその類の話をしかかったので、

 「どうでもいいんじゃないの」

 と切り捨てた。

 が、気になった。私を含む多くの人が、上場廃止を当然のことと思っていたのは、新聞報道のせいである。新聞が、上場廃止を色濃く臭わせたから、ああ、そうなるのか、と考えていた。それが覆った。
 何が起きたのだろう?

 上場廃止のスクープを放ったのは日本経済新聞らしい。らしいというのは、日経だけが「本紙『日興、上場廃止へ』報道の経緯」という記事を1麺に載せていたからだ。2月28日付朝刊だったという。
 何が起きたのか?

 最初に思い浮かんだのは、株価操作、である。
 上場が廃止される企業の株価は急落する。廃止されれば市場で売ったり買ったりできなくなる、つまり商品ではなくなるわけだから、いま持っている人は少しでも価格がついている間に売りたいと焦る。かといって、いずれ売れなくなる株を買う人は希だ。こうして需給関係から価格は急落する。
 では、日興の株価が下がって利益を得るのは誰か? いたいた、適当なのが。シティグループである。シティグループは日興をTOB(株式公開買い付け)で子会社化することを決めている。彼らにとっては、日興株は安ければ安いほどいい。
 日経とシティグループがお手々をつないじゃったのか? 見返りに、日経に広告をジャンジャン出すの? それこそ犯罪ではないか!

 が、新聞を読み進んで、どうも違うらしいと分かった。シティはまだ公開買い付けに入っていないし、この東証の決定を受けて、どうやら買い付け価格を上げてでも子会社化する方針に変わりはなさそうだ。だとすると、シティには動機がない。従って、日経と手を組んだなんて私の妄想に過ぎない。

 では、何が起きて「上場廃止」報道が生まれたのか?
 以下は、単なる私の推論である。

 

1,
日経の記者の誤報。取材先の発言の趣旨を取り違え、確認がとれたと思い込んだ。あり得ることだが、このような影響力の大きな記事を書く時は、複数の取材先に確認を取るのではないかと思うが……。
2,
日経の記者が、取材先にをつかれた。とすると、この取材先には日興の「上場廃止」という情報を日経に書かせることに利益がなければならない。最も考えやすいのは、日興株を空売りしておいて、日経記事の影響で株価が下がった時に買い戻して利ざやを稼いだのではないか、という疑いである。2月27日の終値が1347円、記事が出た28日の終値は1147円。1株当たり200円の利益が出る計算だ。
3,

日経の報道の時点では、「上場廃止」の方針が決まっていた。なのに、その後何らかの事情で方針が覆った。でも、なぜ? 誰がひっくり返した? 目的は? 抵抗はなかったのか?

 

 こうやって読むと、新聞記事って面白い。ちょっとしたミステリー小説である。

 日経は

 「今後とも本紙はこの問題について詳細に取材、報道していきます」

 と宣言した。ミステリーに例えれば、赤っ恥をかかされた刑事が、真犯人は必ず俺の手であげる、と捨てぜりふを残して街に飛び出したようなものである。さて、日経の少年探偵団の実力や如何に? この小説、ますます面白くなりそうである。


 にしても、だ。日興上場廃止は、多くの新聞が追随したらしい。どの新聞かは知らないが、いったい彼らはどんな取材をしたのだろう? あとから書いて、最初に書いた新聞と同じ間違いをするとは、きっと恥という概念を知らない記者がたくさんいるのだろう。
 
 各紙の朝刊にざっと目を通してみたが、日経のように

 「真犯人は俺の手であげてやる!

 と宣言したところはない。恥知らずどもは口をぬぐうつもりなのだろうか?
 自らの紙面に責任を持たない新聞は、もはや報道機関とは呼べないはずだが。

 がんばれ、日経!
 しばらく、日経から目が離せない。

 

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