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 2007年3月5日 命知らず

 命知らずが増えている。ハンドルを握っていると、そう感じる。危ない自転車が多すぎる。

 ・道路の右側を走っていていて、後方確認なしに道路の左端に車線変更する自転車。
 ・道路左端から、フラフラと道の真ん中に出てくる自転車。
 ・酔っているのか、蛇行運転を続ける自転車。
 ・狭い道で、バスが左端によって走っているのに、その隙間を走ろうとする自転車。
 ・夜間、灯火なしで走る自転車。
 ・脇道から突然飛び出す自転車。

 車と自転車が不幸にしてぶつかれば、弱いのは自転車の方である。痛い思いをするのは自転車乗りである、怪我をし、入院するのは、自転車乗りなのである。
 なのに、自分の身の安全を、どこの誰とも分からない自動車のドライバーに委ね切っている人たちが多すぎる。ドライバーが上手いこと避けるさ。
 彼らは命知らずである。

 事故は先週の土曜日、3日に起きた。近くの「エスパ」で買い物を済ませた我がファミリーは、私の運転する車で自宅に戻る途中だった。日枝神社前の細い道を通り、京町の交差点で信号待ちをした。前にトラックがいた。
 信号が青に変わり、トラックが京町通りを横切って直進した。

 「へえ、トラックにしては出足がいいな。ずいぶんアクセルを吹かしてるんだろうな」

 私の車は10m〜15mの車間距離を置いて追走した。100mほど先に、信号のない交差点がある。
 トラックが、その交差点に差し掛かった。その時だ。
 トラックの車体と、左角にある家の間にちらりと見えた物があった。自転車である。母親らしき女性とヘルメットをかぶった男の子が乗っていた。交差点で止まりもせず、トラックの前に突き進んでいった。

 「危ないなあ。あれでトラックの前を横切れるか?」

 音は聞こえなかった。次に瞬間に見えたのは、トラックに押されるように倒れる自転車だった。無論、母親も子供も一緒に路上に投げ出された。トラックはすぐに止まり、ドライバーが降りてきた。20代と見えるお兄ちゃんだった。

 私が救急車を呼んだ。
 ヘルメットをかぶっていた子供は、間もなくムクムクと起きあがった。母親は動かなかった。あとで聞くと、背骨が折れているかも知れないという。動けなかったはずだ。
 
 現場ではお兄ちゃんが調べられていた。加害者である。致し方あるまい。
 しかし、見ているうちに、このお兄ちゃんが気の毒になってきた。

 世の中がいくら広くったって、事故を起こしたい、事故を起こしても仕方がない、と思いながらハンドルを握るドライバーは、まずいない。事故は避けたい。そのためにできる限りの注意はする。それがドライバーの共通認識である。
 だが、ドライバーがいくら注意しても事故は起きる。ミスをしない人間はいないのだ。あのお兄ちゃんも、事故を起こしたくはなかったはずである。

 お兄ちゃんにミスはあったか?
 交差点に入った時のトラックの速度は、ぶつかったあとすぐに止まったことから見て20km前後だったろう。通常なら、充分に注意をしていた範囲に入る。
 この速度で交差点に入る直前、お兄ちゃんには左側から出てくる自転車が見えたはずだ。危ない、と思ったに違いない。ブレーキに足を伸ばしたかも知れない(ブレーキランプがついたかどうか、後ろを走っていたいのに、不覚にも記憶がない)。
 いずれにしても、こちらが優先道路である。普通なら、自転車は交差点の手前で一時停止するはずである。トラックと喧嘩をして勝てる自転車はいないのだから。
 ところが、親子の乗った自転車は、そのままの速度でトラックの前に出てきた。
 冗談じゃあねえよ!
 とお兄ちゃんが思ったとしても、さて、責めることができるのか。
 お兄ちゃんが乗っていた車が乗用車だったら、ひょっとしたら自転車の直前で急停止することができたかも知れない。不幸なことに、彼が乗っていたのは4tか5tのトラックだった。重量のあるトラックの制動距離は長いのだ。
 自転車は、トラック前部の右端にぶつかって倒れた。

 現代は車社会である。便利な移動手段である車の世話にならない人は1人もおらず、だが、自動車事故の被害者になる恐れがない人もまた1人もいない。車社会では、車の便利さとリスクが隣り合う。
 全員がリスクと付き合わなければならない。自分の安全は、最大限自分で守らざるを得ない。ハンドルを握れば加害者にならないようにできるだけ気を付ける。歩いたり、自転車に乗ったりする場合は、被害者になる確率を最大限減らす。

 現場検証をしていた警察官がいった。

 「子供にヘルメットをかぶせるぐらい注意していたのなら、どうして交差点で一時停止してくれなかったのかね」

 母親の怪我が重大な場合、警察はあのお兄ちゃんを逮捕せざるを得なくなるのだそうだ。その際は、目撃者として調書作成に協力して欲しいと求められた。面倒だが、市民の義務である。その際は、見たことを話すしかない。だが、あのお兄ちゃんが不憫でならない。
 あの母親が一時停止をしていたら……。

 もう一度繰り返す。自分の安全を、他人の注意に委ねて平気な命知らずが増えすぎている。自転車乗りに特に目立つ。
 命知らずを一掃したい。

 

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