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 2006年8月19日 ソニーKV-32DZ900

 「ん? お前、リモコン触った?」

 茶の間にあるテレビ、ソニーKV-32DZ900がの電源が突然落ちたのは、ちょうど1週間前だった。昼食の最中である。

 「いや、触ってないよ。だって、リモコンはお父さん差の前にあるじゃない」

 娘が答えた。そうか、ひょっとしたら俺が触ってしまったのか? しかし、自覚がない。俺は、とうとうそんな年代に達したのか?

 やや憂鬱になりながら、リモコンの電源ボタンを押した。何も起きない。???。おかしいな。また押す。事態は変わらない。変だ。再び押す。テレビの電源ボタンが瞬時光って消える。ますますおかしい。

 「突然壊れたか?」

 俺はまだ認知症ではなかった。半分は安心した。残りの半分はテレビが壊れたことへの困惑があった。修理代がかかる!

 主電源スイッチを落とした。さてどうするか。昼食を租借しつつ、思いを巡らせた。
 壊れたとなれば、修理せざるを得ない。我が家のテレビはいまや、単なるテレビというよりディスプレーなのである。テレビ番組を見るより、DVDやデジタルビデオデッキで録画した映画を見る時間の方が遙かに長い。現にその週末、我が妻のリクエストで、「素晴らしきかな、人生」というDVDを購入した。500円。
  どうでもいいが我が家では、一部の音楽ソフトを除けば、1500円以上のDVDは買わない。黒澤明監督の作品がDVD化されたときも価格の高さに驚き、WOWOW、NHK-BS2でオンエアされるのをじっと待ったぐらいである。

 修理する。そう決断して、念のためにもう一度テレビをつけてみた。今度は映像も音声もでた。???。正常に働きだしたのはいいが、やはりどこかがおかしい。ソニーのサービスセンターに電話をした。

 症状を告げる。電話の向こうで、男性の声が答えた。

 「ああ、時々あるんですよ。この機種は安全回路が組み込まれていて、異常電流が流れると、自動的に電源を落とすんです。5分ぐらいで回復したわけですよね。だったら、何の問題もありません。そのままご使用ください」

 そうか、修理代はかからないのか。ほっとしながら、腑に落ちない点があった。異常電流? そんなもの、どこで起きる? テレビの中で起きているんだとしたら、そちらの方が問題じゃあないか?

 「はい、近くで落雷があったとか、ほかの電気器具が原因でブレーカーが落ちたとか、いろんな原因が考えられます。テレビじゃないですよ」

 雷はなかった。ブレーカーも落ちなかった。では、異常電流はどこから? 回答は得られなかった。私は、修理代が助かったことで、原因追及の熱意が薄れていた。曖昧なまま、電話を切った。

 テレビを消した。しばらくしてまたつけた。正常だった。
 消した。つけた。異常が起きた。
 テレビなのに、かつては電気紙芝居といわれた機械なのに、音だけしか出ない!

 話は突然変わるが、BSデータ放送のデジキャスにいたころ、この人たちはきっと間抜けなのに違いないという人たちがいることに気がついた。BSデジタル放送にラジオ局があったのである。テレビなのに、動く絵が出てこない。画面には、データ放送で動かぬ絵を送る。視聴者はもっぱら音を聞く。何のことはない。ラジオである。
 当時、BSデジタル放送を受信できるテレビは、目の玉が飛び出すほど高かった。しかも大型テレビだから、消費電力も半端じゃない。そんな高い電化製品を買って、高い電気代を払って、美しいハイビジョン放送を見るのではなく、ラジオを聞く人たちがいるのだろうか? しかも、有料放送まであった!
 そんなん、ラジオを買ってきてラジオを聞けばいいじゃん。そちらの方が遙かに安くすむ。こんな事業形態を考え出した総務省(当時は郵政省)の役人も、巨額の投資をしてBSでラジオ放送を始めた企業の連中も、私のようには考えなかったのかいな?

 と思っていた私の家で、テレビが突然ラジオになってしまったのだ。

 おかしい。電源を落とす。再び電源を入れる。テレビはうんともすんとも言わない。そうか、先ほどは5分ほど主電源を落としたら正常に戻った。主電源を落とす。念のために10分待った。電源を入れる。今度は電源も入らない。
 なんと、我が家の高級テレビが、テレビでなくなったことはもちろん、ラジオとしても働かなくなり、単なるプラスチックとガラスと金属でできた箱になっちゃった。こら、お前は総務省の役人やBSラジオ局の連中以下の存在に成り下がったのか?!

 再び、ソニーのサービスセンターに電話を入れ、修理を依頼した。昨日サービスマンがやってきた。

 テレビの後ろに回ってカバーをはずし、なにやらごそごそやっている。どう見ても、中の掃除をやっているようにしか見えない。おいおい、俺が頼んだのはテレビの掃除じゃない。修理なんだよ。何してるんだ?
 不信感がムクムクとわき起こる。それにしてもこのテレビ、BSデジタル放送が始まる直前に買ったんだから、まだ6年たってないぞ。そりゃあ、ソニー製品は壊れやすいという風評は、私も知っている。でも、テレビが6年足らずで壊れるか? それって、あまりにも……、

 「原因がわかりました」

 テレビの裏側からサービスマンが言った。

 「です。エアコンの室内機がちょうどテレビの上にありますね。ここから水滴が落ちてテレビの中に入ってました。基盤がかなりいかれています。ご覧になりますか?」

 見た。確かに、一番大きな基盤の一部が、白っぽく変色していた。そうか、ここに埃がたまり、そこに水滴がついてショートする。それで安全回路が働く。そういうことだったのか。

 「ほら、今でも水滴が落ちてるでしょう? 埃を取り除いたら正常に働くようになりましたが、基盤が痛んでいるんで、いつまで持つか保証はできません」

 ソニーさん、ごめんなさい。思いつく限りの悪口雑言罵詈讒謗を心の中で吐き出し、その一部はここにも書いてしまいましたが、あなたは悪くなかった。悪かったのは、ソニーさんがお作りなったテレビの上に取り付けた東芝製のエアコンだった!

 サービスマンには丁重にお礼を述べ、所定のサービス料をお支払いして引き上げていただいた。帰り際の話だと、基盤の交換には7万円から8万円の費用がかかる。その瞬間、我が妻と私は、テレビの買い換えを考えた。価格.comで最近の価格動向を調べた。42インチのプラズマディスプレーが25万円を切っていた。数年前の半額に近い。
 ソニーKV-32DZ900よ、できることなら冬のボーナスまで持ちこたえてくれ!
 珍しく、我が妻と私の願いが一致した。

 すぐに、東芝のサービスセンターに電話をした。明日21日に修理にくる。
 あんたんとこのエアコンのせいで、うちのテレビが死に瀕した。買い換え費用の一部は負担してくれるんだろうな?
 ののしりの対象は、ソニーから東芝に移った。といってもなあ、このエアコン、もう12年も我が家で働いているんだよなあ……。

 ソニーKV-32DZ900。その後は正常に働いている。
 May you live long!

 

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