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 2006年6月26日 カーナビ

 昨日の日記で書き忘れたことがあった。カーナビである。

 今回の旅行は、カーナビの助けなしには実現しなかった。なにしろ、増山のおばあちゃんの家は、岐阜市の田園地帯にある。いただいていた年賀状に記された住所を頼りにしようにも、田園地帯とは、道が曲がりくねり、ほとんどが田畑で所々に住居がまとまって立っている地域を指す。つまり、道を尋ねることが極めて難しい地帯なのだ。
 現実も、その通りだった。市街地を離れ田園地帯に足を踏み入れると、カーナビは

 「どうしてこんなところを曲がるの?」

 というご主人様の疑問をはねつけるかのように、複雑なルートを導いた。頼るものが地図しかなかったとしたら、果たして行き着けたかどうか。

 春日井へのルートも同じである。カーナビのガイドがなかったら、Mさんが

 「もう来たの?」

 というほどの短時間でたどり着くことは不可能だった。
 技術の進歩、恐るべしである。

 だが、何事にも陰と陽の両面があることは、古代の人が指摘している通りだ。これほど賢いカーナビにも、ちょいと許せない頑固な一面があるのを知ったのは、四日市市からの帰路だった。

 簡単なルートである。東名阪自動車道の四日市東インタで高速道路に乗れば、後は自動的に東名高速に乗り、最後は首都高を使って自宅にたどり着く。自信がなかったのは、娘の家から四日市東インタへのルートだ。
 こんな時こそカーナビの出番だ。横浜の自宅はすでに登録してある。「帰宅」ボタンを押しさえすれば、自動的に。まず四日市東インタへ導いてくれる。大枚はたいて買った機械に、その程度の期待をすることは、当然許される。
 「帰宅」ボタンを押した。カーナビが案内を始める。疑うこともなく、従った。

 「次、右です」
 「次、左です」


 機械の合成音の不愉快さを除けば、当初は快適だった。何も考えなくていい。こいつのいう通りにハンドルを切れば、やがて自宅に着く……。

 私は、あえて裏道を選んだ。そもそも、最初から主要道路に出る道なら、私の頭に収蔵されている。我が頭脳の中で不確かなのは、ショートカットできるはずの裏道なのだ。途中までは覚えている。だから、覚えているところまで行き、あとはカーナビに従えば、最短のルートでインタにたどり着けるはずだ。大枚はたいて買った機械に、その程度の期待をすることは、当然許される。

 ???

 私の頭で注意信号が点滅し始めたのは間もなくだった。カーナビがしつこく「右折」を指令する。右側には、私が拒絶した主要道路、この場合は国道1号線がある。

 「そうか、カーナビは主要道路が好きなんだ」

 だが、私は許さない。裏道しか選択肢がなくなるところまで進めば、自ずから裏道を指示するはずであると信じて疑わなかった。そろそろ右折しても、最短ルートをたどれるのではないかと私が勝手に決断した交差点でカーナビに従った。ここから、混乱が始まった。
 住宅地の中に踏み込んだ我が愛車は、カーナビに従って右折、左折を繰り返した。なるほど、このようなルートをたどるのが最短ルートか。まだ、カーナビへの信頼は失っていなかった。

 「次を右斜め手前に曲がってください」

 とカーナビが指令を発した。曲がろうとした。ウインカーも出した。ところが、右斜め手前に曲がれる道がなかった……。

 まあ、私のような賢い人間にも間違いはある。いくら高額な機械であっても、時に間違いはあるのだろう。ここは、私の判断で直進した。なあに、ある地点まで進めば、気を取り直したカーナビが、正しいルートを指示するに決まっている。
 その期待に違わず、カーナビは違ったルートを指示し始めた。よし、これでいい!

 しばらくすると、前方に交通量の多い道が見え始めた。ふむ、やっと期待通りのルートを示してくれたか。喜び勇んでその道に出た。出て気が付いた。そこは、私が避けようと思っていた国道1号線だった……。
 住宅地の中で迷ったのは何だったのか?

 一度迷い始めると、とことん迷うのも機械と人間でそれほど違いがないらしい。
 国道1号線に出ると、カーナビはしつこく右折を指令する。えっ、四日市東インタはにあるはずだぜ……。
 カーナビを無視して直進した。そのうち、インタへの取り付け道路との交差点があるに決まっているのだ。それを左折すれば、あこがれのインタにたどり着けるのだ。それが私の判断だった。まもなく、私の判断の正しさが証明された。四日市東インタに向かうのは左折せよとの道路標識が見えてきたのである。
 道路標識に負けちゃうカーナビって……。

 標識に従って左折した。すぐにカーナビがいった。

 「次の信号、左折です」

 カーナビは、この期に及んでも国道1号線に出ることを指示し続けたのである!
 直進すればインタがある、とカーナビがしゃべり始めたのは、そこから1kmほど走ってからだった。

 確かに、あらゆる機械は人間のサポートがなければ正しい作動はしない。しかし、ご主人様にサポートされないと正しいルートを指示できないカーナビって……。

 どう思います? このカーナビの製造メーカーであるパイオニアの方々?

 

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