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 2006年3月24日 地球温暖化とオフィス

 決まったことだから、という発想しかできない人がいる。みんなが言っているから正しい、という判断しかできない人がいる。
 私の嫌いなタイプだ。あんた、自分で考えるって習慣はないの? 自分の頭があるのに、どうしてそれを使おうとしない? 他人が決めたこと、他人が言ったことを、どうして疑おうとしない?
 なんとも無精な人たちである。自分のものは舌も出さない人たちだ。

 今朝の会議にも、そんな人がいた。環境担当だ。

 「来年度も、地球温暖化対策、省エネ対策のため、夏場の冷房温度は28℃ということで進めたいと思います」

 私は人後に落ちない暑がりである。28℃の室温では、体内のリズムが狂う。拭いても拭いても汗がしたたり落ち、仕事なんか手につかない。
 それも、短パンにTシャツで、いつでもシャワーが浴びられる環境なら、何とかなろう。が、一応はきちっとした身なりをしなければならない会社の室温だ。
 これは、拷問である。

 だが、私は会社員である。我慢も給料のうちであることは、入社以来の会社生活で思い知らされてきた。でも……。

 聞き逃そうかと思った。あえて摩擦は起こすまいと思った。会社という組織は、私が異を唱えたところで変わるものではない、と自分を説得しようとした。
 だが、むかつきは消えない。全館禁煙とした喫煙問題といい、金科玉条の如く28度に固執する冷房温度問題といい、どうして思考放棄した右へならえの発想しかできない人間が我が社には多いのか。私のむかつきは、これは義憤ではないか?
 そう思ったときには、すでに口が動いていた。

 「しかし、ひどい話だよねえ。熱帯夜って知ってる? 最低温度が25℃以下にならない夜を熱帯夜というんだわ。熱帯夜は寝苦しい夜なんだ。つまり人間は、単に横になっているだけでも25℃以上の温度では不快感を感じる生き物なのよ。考えてみてよ。昼間、我々は働くんだよ。28℃では、横になっているだけでも暑苦しいのに、立って動いて働くんだ。これって、ひどい労働環境じゃない? シエスタの時間でも設ける?」

 熱帯夜との比較は、説得力がある論理である、はずだ。

 「そもそもいまのビルは、全館冷暖房を前提に設計されているんだよね。どんなに暑くても、窓は開かない。自然の風に涼を求めることができない。それなのに28℃? そこで仕事?」

 そうなのである。我々は、どれほど望もうと江戸時代の環境を生きるわけにはいかないのだ。

 「そもそも地球温暖化の原因にも定説はないんじゃなかったかな? 二酸化炭素が疑われているのは知ってるけど、それに異を唱える学者もたくさんいる。地球は自分のリズムで温かくなったり冷たくなったりする。そのリズムが、いまは温かくなる方に向かっているだけで、人間の吐き出す二酸化炭素なんて、取るに足りない原因だ、という学者もいるわけよ。夏場の冷房温度を28℃にする科学的根拠は極めて曖昧なんじゃないの?」

 知識のひけらかし、ともいえる。しかし、本人は、ブームに乗るだけの思考をする人が多すぎる現状への告発のつもりである。大まじめなのである。

 ここまで言いつのられた環境担当は言葉に詰まった。それはそうであろう。彼は、この程度のことも考えずに仕事をしている人なのだ。言葉に詰まって、満足な反論もできないまま、

 「はあ、検討してみますが……」

 と逃げた。
 自分で突き詰めて考えたこともないことを、さも正義の如く発言する。これを会議と呼ぶなら、会議とは壮大な時間の無駄でしかない。何者をも生み出さない。

 てなこと書いてみても、あいつ、検討なんかするはずないよなあ。ああ、今年の夏も28℃か……。

 

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