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 とことん合理主義 - 桝谷英哉さんと私   番外編III :マルチセルラーホーンの製作3

 ハードディスクつきDVDレコーダーを買いました。膨れあがるテープに占拠された場所を取り戻すためです。
 かつて、アナログでとったテープをハードディスクに読み込み、DVD-Rに焼く。テープ4本分の幅で、DVDなら約10枚置けますから、効率は抜群。我が家のテープラックは330本収納ですから、計算上は850枚ほど収まることになります。
 でもまあ、テープ1本2時間平均として、850枚のDVDが完成するまでの時間は、ハードディスクを介在させなくても1700時間。それに、ファイナライズを入れると、2000時間は必要でしょう。ハードディスクを介在させれば、不要部分をカットするなど若干の編集作業も入ってきますし、ざっと4500時間不眠不休励んだとしても、実に半年もかかります。
 これから、俺はそんな作業に没頭するのかな……。

 ま、これから地上波もデジタル化するし、そうなれば地上波の放送もハイビジョンになるわけで、いまのDVDではハイビジョンはとれませんから、いずれはブルーレイを使ったレコーダーに買い換えなければならないわけです。
 さらに、そうやってソフトを貯め込んでも、いずれはビデオ・オン・デマンドになって、映画や音楽をサーバから回線経由で取り込んで鑑賞できる時代が来ることは目に見えているので、どっちみち、それまでしか使えないものだとは思うのですが、ま、買っちゃったものは仕方がないですねえ。

 それにしても、いつ見るのかな……

 とりあえず、アナログテープのまま放ってあったエリック・クラプトンのソフトから我が家のDVD化が始まりました。

 またしても、忙しい週末が始まります。

   工程11

 一晩安眠をしていただいたホーンは、ボンドもすっかり乾いているので、当て木を取り外す。
 取り外し方に、別に流儀はない。力任せにやればいい。
 中には、ボンドをつけすぎたのか、なかなかはずれてくれず、挙げ句の果てに当て木が折れてしまって、一部ホーンに残ってしまうなどというのも現れる。それでもかまわない。
 破壊願望がある人には、極めて楽しい作業だと思う。
 当て木を取り外すと、下の写真のようになる。

 写真01

 もう一つ、ホーンに手を加えた方がいい。
 前回、ホーンの接着部に隙間があると、あとで石膏を流したときに、ホーンの内側に石膏が流れ出す恐れがあると書いた。そんな事態を避けるため、布製のガムテープを使って隙間をなくす作業もやった。
 実は、それでも隙間が残ることがある。
 残ってしまった隙間をどうするかが、大きな問題なのである。

 桝谷さんが書いているように、ウッドパテを使って隙間を埋めるというのも、1つの手であろう。見た目だけの問題なら、それでもいい。というか、最終的には私もやっていることだ。
 いまの問題は、石膏がホーンの中に流れ込まないようにすることなのだ。

 ここでは、桝谷さんと話し合って、私が採用した方法を紹介する。
 マスキングテープを使うのである。

 前の作業で、ガムテープを使った。ホーンにはガムテープが巻き付いている。私は桝谷さんに、

 「ガムテープを巻き付けたまま、石膏を流し込みたい」

 と泣きついたことがある。隙間をガムテープで物理的に防いでおけば、ホーンの内側に石膏が流れ込むなど、絶対に起き得ないからである。

 「それはあきまへん」

 と即座に否定された。
 ガムテープの表面には、剥がしやすいように薬剤が塗ってある。それが石膏となじみが悪く、最終的には一体化するのが理想のホーンと石膏の間に、何とはなしに隙間風が吹く、というのである。
 それは分かった。しかし、隙間は何とかしたい。
 セロテープ、ビニールテープ、絆創膏、様々なものを挙げた。すべて否定された。

 マスキング用のテープはどうでしょう?」

 これだけが採用された。
 マスキングテープで目張りをするのである。

 次の写真をご覧いただきたい。
 私は、16本のホーンすべてにマスキングテープを貼る。隙間が確認できようとできまいと、とにかく貼る。石膏の侵入を何としてでも防ぎたいのである。
 ご覧のように、テープを貼らなければならないところはカーブを描いている。だから、一息に、喉部から開口口までテープを貼るのは不可能である。
 私は、3回ほどに分けて貼っている。マスキングテープは手でも簡単に切れるので、作業性はいい。

 写真02

 これでできた、と16本を整理していたら、まだ、反抗精神を失っていないホーンがいた。
 次の写真のように、開口口が再びずれているのである。想像するに、家人が寝静まった深夜、人目がないことをいいことに、レジスタンス派がこっそり行動して、自由の旗を掲げたのであろう。
 だが、心配することはない。
 人目を忍んで旗揚げするレジスタンスなんてものは、たかがしれている。

 レジスタンス分子、この際は横板だが、こいつは、今の位置を動くものかと頑張っている。そう、この場所で、ボンドが硬化しているのである。
 まず、こいつを剥がさないと、支配者たる私が予定している場所に、横板を移動させることができない。相手は、人目を忍ぶレジスタンス分子である。親指でちょっと押すだけで、トットット、とよろけてしまう。死守すると頑張っていた場所から動いてしまう。

 写真03

 こうなれば、こちらのものだ。前回実行した修復技術を活用して、こちらの思いの場所にボンドとバリケードを使って縛り付けてしまえばいい。次の写真のように、隙間を塞ぐことにも気を配るのは、いうまでもない。

 写真04

   工程12

 16本のホーンが完成した。16本を8本ずつ組み合わせることで、マルチセルラーホーンが2つできる。
 といっても、一度に8本を組み合わせることは不可能だ。まず2本ずつ組み合わせる。

 私は歪み分割型を採用しているので、2本ずつ上下に組み合わせる。

 仕上がりはできるだけ美しい方がいい。となると、どの2本を組み合わせるかが、次の作業になる。
 最初にバチ板の開口口を合わせておいたのだから、どの2本を組み合わせてもぴったり合うはずである。

 次の写真を見ていただきたい。
 前回、作業工程4で、バチ板の開口口と喉部のばらつきを放置してはいけない、と書いた。放置せず、電動サンダーで開口口を揃えた結果がこの写真だ。

 2つのホーンが接触しているところをよく見て欲しい。接触しているバチ板が、同じ高さになっていることが分かると思う(右側のホーンは、水平になっているバチ板が、やや内側にずれている。彼らのレジスタンスが一時的に、小さな勝利を手にしたのである。あとで修正したのはいうまでもない)。
 同じサイズになっていなかったらどうなるか。この2つのホーンが、図1のように継ぎ目でずれてしまうのである。写真で水平になっているバチ板が、右と左でずれてしまう。
 このバチ板は、完成時には開口口で縦に走る桟(さん)のようなものになる。つまり、このバチ板がずれていると、この桟が継ぎ目でずれてしまうという、みっともないことになってしまう。

 写真05

 fig1

 木工作業というものは、どんなに神経を使っても、わずかな狂いは残るかもしれないものだ。だから念には念を入れて、16本のホーンを2本ずつ組み合わせて理想のペアを作るのである。

 

 さて、ペアができたら、この2本に「永久(とわ)の愛」を実行させる。簡単にいうと、くっつける作業をする。

 すでにお分かりのように、この2本は、喉部と開口口でくっつく
 2本のホーンを組み合わせると、喉部は次の写真のようになる。

 写真06

 このままでは、2本の接点は線でしかない。彼らの密着度は極めて低い。より深い絆を築くべく、接着は面で行いたい。面接着になるよう、この部分を削らねばならない。
 削っておくと、「喉の部分の隔たりが薄い刃になるので音が通りやすかろう、という精神的安心にもなる」と桝谷さんは書いている。

 写真07

 私は、上の写真のように、電動サンダーを使って削る。電動サンダーは、サンドペーパーの下がゴムになっているため、ややもすると、削った面が丸みを帯びることがある。そうなると、接着面が点接触に限りなく近くなり、見た目も悪い。
 私は、仕上げに「第15回 :ホーンなんですが……」で紹介した取っ手付きの木工ヤスリ「SANDVIK」を使って平らにする。
 2本とも接着面を削るのだが、途中で、2本を何度も合わせてみて、この接着用の平面がぴったり合うように削る。
 削り終えると、次の写真のようになる。安物のデジカメは接写が苦手である。ちょっとピンぼけ、はお許し願いたい。
 写真でお分かりのように、このホーンは上下板が左右板より少し長い。出すぎたところは、あとで削り落とすことになる。
 ね、このずれが開口口で発生していたら、出過ぎたところを削るのも大変でしょう?

 写真08

 喉部の準備ができたら、次は開口口である。

 開口口は、厚さが3〜5mm程度、幅が5〜8mm程度の角材をはさんでやる。桝谷さんが書いているように、強度を出すのと、見た目を良くするのが狙いである。
 材質は何でもいい。加工がしやすいバルサ材でもかまわないと桝谷さんはおっしゃった。が、ここも見た目にこだわろう。
 DIYの店や模型工作店(といっても、最近はあまり見かけなくなったが……)に行くと、いろいろな材質のものを売っている。自分で好きなものを選ぼう。長さ90cmで、30円とか50円で買える。必要な分だけ、つまり理論上は440cm用意する。90cmの長さのものなら5本で足りる計算だが、不測の事態が起きないとも限らない。念のために6〜7本買っておこう。

 さて、買ってきた角材は、次の写真のように現物と合わせて長さを決め、カットする。鋸を使うより、大型のカッターナイフを使った方が楽だと思う。厚さ3mmの角材でも、同じところに5〜6回刃を入れると、綺麗に切れる。
 切るときは、必要な長さぴったりが一番いいのだが、やや長く切っておく。はみ出た分は、あとで削ればいい。いくらでも修正がきく。
 必要な分より短くしてしまうと、あとの修正は不可能だ。角材が行き届かなかったところには、大きな隙間が出きることになることはご想像いただけるはずだ。

 写真09

 接着面にボンドをつけ、開口口には先程の角材を挟み、下の写真のように組み上げる。開口口は、大型のダブルクリップではさんでやる。ダブルクリップが1個で足りなければ、2個はさめばよい。
 この時、2本のホーンの開口口をぴったり合わせておくことが、美しいマルチセルラーホーンに仕上げるコツである。

 写真10

 喉部は、例によって輪ゴムをぐるぐる巻きにする。

 写真11

 こうして、2個ペアになったホーンが8組みできた。ここまで来ると。出来上がったときの形が想像できる。
 一気に完成まで持っていくか!
 と製作意欲が沸き上がる、はずである。

 写真12

   工程13

 すでに2本ペアになっているホーン2組みを組合せ、4本組みにするのだが、ここでも接着部には角材をはさむ。
 角材をはさむには、接着面を平らにしておかなければならない。次の写真で分かるように、2本ペアにする際にはさんだ角材が、接着面に飛び出しているし、2本のホーンもわずかにずれていることがある。そいつを微調整するのである。
 例によって、電動サンダーでガーッとやる。すぐに平らになる。

 写真13

 喉部も、接着する面は削らねばならない。2本ペアを作るときと同じ理由である。次の写真で、どの程度削ったか見てもらえるかな?
 ここも、時々両方を組み合わせて、削り具合を調整する。開口口、喉部ともに、ぴったりくっつかなければならないのである。

 写真14

 次は、角材を加工しなければならない。
 2本のホーンの間に挟む角材は、適当な長さに切っておけばよかったが、今回はそうはいかない。
 次の写真で見ていただけるように、角材は、2本のホーンの継ぎ目で折れ曲がらねばならないからだ。つまり、ある角度をつけて切り取った角材2枚を、ちょうど真ん中でつながなければならない。
 ここは、現場あわせで、2枚の角材がぴたりとくっつくように角度を出すしかない。

 写真15

 ここまでの準備ができたら、必要な箇所にボンドを塗り、開口口を合わせて貼り付ける。
 開口口はダブルクリップで、喉部は輪ゴムで固定するのは、これまでと同じだ。

 写真16

 この作業を繰り返して、4組の4本組ができた。作業は順調に進んでいる。

 写真17

   工程14

 正方形を組み合わせて球を作ることはできない。幾何学の常識である。従って、我々が作ろうとしているマルチセルラーホーンの開口口には、必ず歪みが生ずる。この歪みをどう吸収するかが、この工程のすべてである。

 なんて小難しいことを書いたが、実はそのことを理解するまでに、わが社の理科系出身の若い社員を捕まえて話を聞き、30分ほどかかった。素人考えでは、正方形を組み合わせて擬似的な球ができそうに思えるのである。
 あなたはいかがですか?

 最終的に私は、我が手を使って完璧に理解した。
 理解の仕方は簡単である。まず、縦横比が1:2の紙を2枚取り出す。それぞれを真ん中から折る。折った紙は、正方形が2つつながった形になる。これが、ホーンを2本くっつけたときの、開口口の形である。
 この2枚の紙を、折り目をそろえて2枚並べる。紙の縁をぴったり合わせると、折り目の上にある正方形同士は、平面にしかならない。ホーンは喉部まであるのだから、この正方形の後ろに、喉部まで伸びた形を想像する。そうすると、喉部はどうしてもくっついてくれないのである。
 喉部をくっつけるには、2枚の紙を、ある角度をつけて並べざるを得ない(図2参照)。

   工程11

 どうです? こうすると、2枚の紙の継ぎ目には必ず隙間ができるでしょう? これが、ここでいう歪みなのです。

 先に私は、2本ペア同士をくっつけて4本組にした。上の説明で分かるように、この歪みを力で抑え込んだわけだ。

 とりあえずは力で抑え込んだものの、歪みは残っている。本来、隙間であるべきところをぴったりとくっつけてしまったわけだから、この隙間は接着されなかった面に集まる。
 次の作業は、そのようにして歪みが集中している面同士をくっつけなければならない。
 次の写真を見ていただきたい。
 4本組みを2つを並べたとき、接着したい面に大きな隙間ができている。ホーン8本でマルチセルラーホーンを作るときの開口口の歪みが、ここに集まっているのである。

 写真18

 この歪みをどう処理するか。
 方法は2つしかない。

1. 無理矢理くっつける

2. 隙間を無理なく埋めてやる

 当初私は、1でやろうとした。少々の力では隙間が埋まらなかった。もっと力を入れてうまくくっついたこともあるので、今回もそうしようとした。だが、接着したい横板がはずれてしまった
 この方法は断念した。

 で、結果として2を採用した。角材で、この隙間を埋めたのである。

 写真を見てお分かりのように、この隙間を埋めるには、図3のような、真ん中が膨らみ、両端に行くに従って薄くなる角材を作らねばならない。
 隙間がかなり大きかったので、私は角材を2枚張り合わせた。張り合わせて、一端から反対の端に向かって徐々に薄くなるよう、電動サンダーで削った

 写真17

 図4のようなものを2つ作り、間に挟んで4本組み2つを一体化したのである。
 みごとにマルチセルラーになった。次の写真を見て欲しい。

 写真17

 写真19

   工程15

 開口口だけでなく、喉部も接着しなければマルチセルラーは完成しない。2本組みをくっつけたときと同じように、喉部の接着面は薄く削っておくのはいうまでもない。
 乾くまでどうやって固定するか。
 2本ペア同士までは輪ゴムで固定することができた。しかし、8本のラッパの喉部は、さすがに輪ゴムでは固定できない。
 私は、次の写真のように、布製のガムテープを使った。

 写真20

 もう一つ作業がある。
 喉部は、あとでスロートとつながなければならない。しかし、上の写真で分かるようにデコボコになっており、このままではスロートつなぐことができない。
 もう分かりますね。そう、削るのです。スロートと向かい合う面が平らになるよう削るのです。私は電動サンダーを使います。
 削ると、次の写真のようになる。

 写真21

   工程16

 マルチセルラーの形がはっきり見えてきたここに至っても、まだ反抗するレジスタンス分子がいた。次の写真を見ていただきたい。横板と角材の間に、わずかな隙間があるのが確認していただけるだろうか?

 写真22

 というわけで、ここまで来て姿を現したレジスタンス分子を弾圧する方法をお教えする。隙間にボンドを押し込み、もういちど接着してしまうのである。

 まず、次の写真のように、隙間の上にボンドを厚めに塗る。

 写真23

 これでは接着面にボンドは届いていない。だから、このボンドを、竹串を使って隙間の中に押し込んでいく。できるだけ沢山のボンドが隙間の中にはいるのが望ましい。いわば、レジスタンス分子の中に、鎮圧部隊を送り込むのである。鎮圧部隊は、人数が多ければ多いほど鎮圧は簡単なのである。

 写真24

 次の写真を見ていただければ、先程塗ったボンドのほとんどが隙間の中に送り込まれたことをご確認いただけると思う。

 写真25

 で、最後にダブるクリップで押さえつける。これで完璧である。

 写真26

   工程17

 さて、16本のホーンをマルチセルラーにするためのボンドが乾燥して固まるのを待つ暇に、天板、底板、横板を作ろう。

 といっても、天板・底板用の板が4枚、横板用が4枚入っているだけで、ここから切り出さなければならない。
 最初に、この8枚の板の表裏を決める。両面を見て、より美しい方を表、つまり人目に触れる方と決めるのである。
 それから形どりをする。次の写真のように、板とホーンをキッチリ合わせ、カットラインを鉛筆で書き込んでいく。

 その際、ホーンよりすこし大きくカットするように線を引く。理由は簡単だ。

 天板や横板が、ホーンより少しでも小さくなると、使えないのはお分かりいただけると思う。
 では、ぴったり同じにしたら?
 これもダメである。
 このようにして形どりできるのは、あくまで平面投影図でしかない。しかし、実際に天板・底板をマルチセルラーに貼り付けると、微妙なカーブが生まれる。実際にお作りになるとお分かりいただけるが、真ん中あたりが低く、両端が高くなるカーブを描くのだ。平面投影図とぴったり同じにカットすると、実際に貼ったときに、ほんの少しだけサイズが足りなくなって役に立たない

 というわけで、あとで切ったり削ったりという煩わしい作業が発生することを覚悟しながら、平面投影図より幾分大きくカットしなければならない。
 そのことを頭に入れて、鉛筆で形どりをする。

 もう一ついま形どりをしたのが、どこに使うものかを板に書き込んでおく。次の写真を例に取ると、この底板(天板)の裏側、つまり、いまホーンと向かい合っている側に「あ」と書き、ホーンの下になっている側にも「あ」と書いておく。これを、ほかの天板、底板、横板にもすべて書く。
 私は、天板・底板は「あ」から「え」を、横板には「a」から「d」を使う。いや、どんな記号を使おうと、仕上がりに関係はない。「α、β」を使うのも勝手、「1,2」と数字を使うのも勝手である。
 木工作業とは、できあがりが一つ一つ違うものである。同じサイズで天板・底板を作ってしまうと、ホーンの面との組合せによっては、使えないものが出てくるかもしれない。その程度の用心は、常に必要なのである。

 写真27

 次の写真は、鉛筆での形どりが終わった板だ。薄く、「い」とか「c」と書いてあるのが確認していただけるだろうか?
 夕方で、光の具合が悪く、見にくい写真になってしまったのはお許し願いたい。
 まあ、こんな影ができる時間まで真面目に働いていたのです……。

 写真28

 次は、この板を鉛筆の線に沿ってカットする。
 桝谷さんは、鋸で慎重にカットすると書いている。私も一度鋸を使ったことがあるが、切り口ががさがさになって美しくなかった。
 私が使っているのは、大型のカッターナイフである。
 直線は、定規などをあてて何度もカッターナイフを入れる。3回や4回では切れてくれないが、7回か8回カッターナイフを走らせていると、やがて手応えが変わり、みごとに切れる。切り口もかなり美しい。
 カッターナイフは、最初の数回はあまり力を入れず、徐々に力を込めていくと、カッターナイフがカットラインをはずれて板を傷つけてしまうといった間違いがない。

 こうして、天板・底板、横板を切り出したところで、本日の作業は終了とする。

 

 



【初出2003年6月6日】

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